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2006年12月19日(火) 01時46分

12月19日付・読売社説(1)読売新聞

 [製品安全対策]「もう甘い対応は許されない」

 製品事故の被害を拡大させないため、製造企業などの責任がぐんと重くなる。甘い対応は、もう許されない。

 パロマ工業製のガス瞬間湯沸かし器事故や、シュレッダー事故などを教訓に、消費生活用製品安全法が改正された。来春施行される。

 死亡、火災など、家庭用の製品で重大事故が起きた場合、製品の製造・輸入業者が、事故情報を経済産業省に10日以内に報告することを義務付けた。同省は原則1週間以内に、情報を公表する。

 経産省は、これに合わせて、企業が製品安全の取り組みを徹底させ、社内の体制を強化する「自主行動計画」を策定するよう求めた。

 これまでは、事故が起きた時、業者に報告義務はなかった。このため、消費者などへの事故の周知が遅れ、パロマ事故のように被害を拡大させた。

 法改正と自主行動計画は、製品安全を確保し、事故が起きた場合に、被害を拡大させないための車の両輪といえる。

 政府の対応は余りに遅すぎた。それでも、体制が整うのは前進だ。新制度を早く定着させ、十分に活用したい。

 なお問題もある。

 三菱電機が製造し、NTTドコモが販売した携帯電話の電池パックが過熱、破裂する事故が今春以降、頻発していたことが、最近、明るみに出た。電池を製造したのは三洋電機子会社だった。

 製品の安全問題が関心を集めていたのに、3社の対応は鈍く、利用者の背広が焦げる事故も起きるなど、被害が広がった。新制度では、こうした事故は「重大事故」に該当せず、報告義務はない。

 しかし、消費者の安全を最優先する立場から、重大事故以外の事故も、自主的に報告すべきだ。些細(ささい)なトラブルが重大事故につながる恐れもある。

 任天堂が、新型ゲーム機のリモコンに付けるストラップが切れる事故で、ストラップの無償交換を決めた。こうした機敏な対応を各企業が迫られよう。

 報告の期限は「10日以内」とされているが、事故の把握後、直ちに報告すべきだ。経産省の事故情報公表も、最初は一般的な商品名の公表にとどめる方針というが、被害の拡大を防ぐため、速やかな具体名の公表が望ましい。

 企業の社会的責任として、製品安全の重要性を社内に浸透させることが大事だ。企業がいったん信用を失えば、企業価値やブランド力は失墜する。甘い対応を許さない緊張感を持つ必要がある。

 事故はいつ起きるか分からない。消費者も、事故情報に注意し、安全を自ら守ることを自覚したい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061218ig90.htm