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2006年12月17日(日) 06時08分

ミサワホーム、粉飾決算の疑い 未完成住宅を完成と装う朝日新聞

 大手住宅メーカー「ミサワホームホールディングス(HD)」(東京都新宿区)の連結子会社「ミサワホーム九州」(福岡市)の決算が5年にわたって粉飾されていた疑いがあることが、朝日新聞社の調べでわかった。未完成の住宅を顧客に引き渡したことにして、売り上げを前倒しして計上。すでに完成した別の住宅の表札を差し替えるなどの偽装で、監査法人によるチェックをすり抜けていた。ミサワHDの決算自体も粉飾されていたことになる。

 ミサワHDは、事実関係を認めており、近く5年分の決算を訂正するとともに関係者の処分を検討している。福岡証券取引所に上場しているミサワ九州だけでなく、東証、大証、名証に上場している親会社のミサワHDについても、各証券取引所の上場廃止基準(有価証券報告書の虚偽記載など)に抵触する可能性がある。

 ミサワグループに対して今春、産業再生機構が支援を終えたところだったが、新たに不祥事が明るみにでたことで経営再建に影を落としそうだ。

 ミサワHDによると、ミサワ九州が5年間で手がけた住宅は約4600棟。前倒し計上されたのは全体の約1割という。住宅の販売価格は2000万〜2500万円が中心で、単純計算だと粉飾の総額は数十億円規模になる可能性がある。

 両社は今年11月13日に9月中間決算の発表を予定していたが、同10日に「(ミサワ九州が)監査法人による会計監査において、売り上げ計上時期の認識にズレがあると指摘を受けた」として延期していた。

 住宅メーカーは一般的に、顧客と契約した時点でなく、完成して引き渡した段階で売り上げなどを当期決算に計上する。

 だが、複数のミサワ九州社員によると、同社は、未完成の物件を「施主に引き渡し済み」と偽り、本来は翌期に繰り入れる売り上げを前倒しして計上してきた。監査法人の公認会計士が実地監査に訪れると、未完成の住宅の窓にカーテンをつけて内部を隠したり、すでに入居者がいる別の住宅へ案内したりするなどの偽装を続けていた。

 偽装の情報を得たみすず監査法人(旧・中央青山監査法人)が、10月の実地監査の際、「抜き打ち監査」をした結果、粉飾の疑いが浮上。偽装にかかわった社員は「上司の指示で故意に決算をごまかしてきた」と証言している。

 ミサワHDは、今年10月、監査法人の指摘で初めて粉飾について把握したとしている。社内調査の結果、前倒し計上が遅くとも5年前に始まり、九州の7支店すべてで行われていたことが判明。「意図的とみられても否定できない。深刻に受け止めている」(ミサワHD幹部)として、水谷和生社長をトップとする調査委員会を設けた。

 会社ぐるみで前倒し計上をしたのかどうかについては「現段階では、会社が指示をした痕跡はないが、可能性を否定することもできない」(同)としている。

 ミサワ九州が粉飾に至った背景には、グループの経営が傾いて産業再生機構の支援を仰ぎ、業績向上を迫られる中、「トップも含め、目標達成への強い思い入れがあったようだ」(同)という。

     ◇

 〈中神正博・ミサワホームホールディングス代表取締役専務の話〉 カネボウのように架空の売り上げを計上したわけではないが、上場企業として許されない、不誠実な対応だった。九州以外の販売会社についても調べたが、やっていなかった。深刻に受け止めているからこそ、調査に時間がかかっている。結果はきちんと公表する。

     ◇

 〈キーワード:ミサワホームホールディングス(HD)〉 木質パネルが主力のプレハブメーカーで、住宅業界6位。母体のミサワホームは67年に設立。バブル期のリゾート開発などで多額の負債を抱え、旧UFJ銀行(現・三菱東京UFJ銀行)から2度、総額1700億円の金融支援を受けた。HDは03年に持ち株会社として設立されたが、04年に産業再生機構による支援が決定。05年には機構による債権買い取りや銀行などの債権放棄が行われ、トヨタ自動車などを引受先とする第三者割当増資も行った。今年3月に機構に債務を弁済し、機構の支援が終了した。ミサワ九州は傘下の販売会社。

http://www.asahi.com/national/update/1217/TKY200612160306.html