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〈杓子（しゃくし）定規〉——まがった杓子、正しくないものを基準にしてものをはかること、一定の基準、形式にとらわれて、応用融通のきかないことなどをいう◆三菱自動車製大型車のタイヤ脱落事故をめぐる虚偽報告事件で横浜簡裁の出した判決には耳を疑った向きが少なくない。「報告は虚偽だったが、報告を要求したのは大臣ではなかったから無罪」◆この判断は、実態を十分見ず、形式に走り過ぎた感がある。「報告要求は大臣の権限で、直ちにリコール対策室に生じる権限ではない」はあまりに形式的、杓子定規ではないか◆「リコール制度の持つ意味に十分配慮していない」と見る識者がいる。「行政はすべて大臣の指示を仰いで動くわけではない。そうした行政の仕事の本質を理解していない」と見る人もいる◆〈重箱の隅を楊枝（ようじ）でつつく〉は、さ細な点、どうでもよいようなことまでせんさくすること。〈重箱の隅を杓子で払え〉は、あまり細かい点まではせんさくしないこと◆横浜簡裁の判決は余計な〈楊枝〉を使い〈杓子〉の使い方を誤ったように見える。