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2006年12月11日(月) 11時44分

<住基ネット訴訟>請求棄却で原告逆転敗訴 住民側上告へ毎日新聞

 住民基本台帳ネットワークシステム(住基ネット)に同意なく登録されたのは、プライバシー権を侵害し違憲だとして、石川県の住民28人が県と地方自治情報センターを相手に個人情報削除を求めた訴訟の控訴審判決が11日、名古屋高裁金沢支部であった。長門栄吉裁判長は、「プライバシー権(自己情報のコントロール権)や、行政権力による包括的管理からの自由を侵害しない」として、住基ネットの違憲性を指摘し全国で初めて個人離脱を認めた1審・金沢地裁判決を取り消し、請求を棄却する逆転判決を言い渡した。住民側は上告する方針。
 住基ネットをめぐっては先月30日、大阪高裁が高裁レベルで初めて個人情報の削除を認めており、判断が分かれた。
 昨年5月の1審判決は「離脱を求める原告に限り、住基ネットはプライバシーの保護を保障した憲法13条に違反する」として住基ネットから原告の個人情報の削除を命じたため、県側が控訴していた。1審で国に対する損害賠償請求は棄却されたため、控訴審では県などを相手にした個人情報削除のみが争われた。
 控訴審も、自己情報コントロール権と行政によるデータマッチング(個人情報の結合・集積)など目的外使用の危険性が主な争点となった。
 判決では、1審判決、大阪高裁判決で認められた自己情報コントロール権については「個人情報をみだりに収集、管理、利用されないことも憲法13条による保障を受ける」と認めた。
 しかし、住基ネットについて「住民の利便性を図ることを可能にする」などとして正当性を認めた。そのうえで、登録削除については「住民の一部でも参加しないことを許容すれば、システム本来の機能を果たし得ず、従来システムを併存的に存置せざるを得なくなる」などとして認めなかった。また、行政の目的外使用の危険性についても「具体的な危険があるとは言えない」とした。
 原告側弁護団によると、住民が国を相手取った同様の訴訟は全国13地裁で提訴され、金沢地裁判決以降、地裁レベルでは住民側の敗訴が10件続いてきた。
 しかし大阪高裁は先月、住民らの請求を棄却した1審・大阪地裁判決を変更し、大阪府の3市に住民票コードの削除を命じた。守口、吹田両市は上告したが、箕面市は上告を断念している。
【八田浩輔】
(毎日新聞) - 12月11日11時44分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061211-00000018-mai-soci