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2006年12月11日(月) 00時00分

住基ネット、住民逆転敗訴 名古屋高裁金沢支部 大阪と判断割れる 東京新聞

 住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)の運用はプライバシー権を侵害し違憲などとして、石川県の住民二十八人が県などに個人情報の削除などを求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁金沢支部の長門栄吉裁判長は十一日、「住基ネットはプライバシー権を侵害するものではなく、憲法一三条に違反しない」として、個人情報の削除を命じた一審金沢地裁判決を取り消し、住民側の請求を棄却した。住民側は上告する方針。 

 住基ネット訴訟では昨年五月、金沢地裁が初めて違憲と認め、大阪高裁も先月三十日、違憲判決を出したが、ほかは住民側が敗訴。大阪高裁判決を受けて、大阪府箕面市は七日、上告断念を表明していた。

 長門裁判長は判決理由で、プライバシー権を害する恐れがある場合、住民側には自分の情報の開示を自分で決める権利(自己情報コントロール権)があると認定。

 しかし住基ネットで扱う氏名、住所、生年月日、性別、住民票コードなど本人確認情報は「個人の人格的自律や人格的生存に直接関係するものではない」と指摘。「公権力が正当な理由に基づき、本人確認情報を収集、管理、利用することは『公共の福祉』による制限として許される」とした。

 住基ネットの運用について「住民の一部の不参加を許容すれば、システム本来の機能を果たし得ない」と判断。利便性よりもプライバシーの保護を望む住民についても、「住基ネット導入の正当性は否定されない」とした。

 また北海道斜里町で住基ネット端末の操作マニュアルなどが職員のパソコンからネット上に流出したり、帯広市で職員が目的外閲覧をしたケースは「ごく例外的な事例で、制度的な欠陥を示すものではない」と指摘。住民側が主張した本人確認情報を利用した名寄せなどの危険性に対しては「自治体の職員が法律を順守する限りは具体的危険性はない」と述べた。

 控訴審で、住民側は「自己情報コントロール権も憲法一三条で保障されたプライバシー権に含まれる」とし「住民票コードを使って簡単に個人情報の検索、名寄せがされる」と主張。県などは「住基法などで目的外の利用を禁止しており、対策は十分」と反論した。

 住民側は一審で、個人情報の削除と国や県などに一人当たり二十二万円の損害賠償を請求。金沢地裁判決は「自己のプライバシーの権利を放棄せず、住基ネットからの離脱を求める住民への適用は憲法一三条に違反する」と認め、賠償請求は棄却。県などが控訴した。

 岩淵正明・住民側弁護団長の話 速やかに上告して最高裁で主張をさらに補充し、住基ネットからの離脱を最終的に認めさせるよう、上告審で闘う。

 石川県のコメント 住基台帳ネットシステムの適法性、有効性について、県側の主張が認められた妥当な判決であると考えています。県民の信頼が得られるよう、引き続き安全かつ適切な運営に努めていきます。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061211/eve_____sya_____001.shtml