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2006年12月09日(土) 17時45分

消費者ニッコリ 顔曇らせる農家朝日新聞

 秋の陽気で、生育が早まった露地野菜の価格が低迷している。レタスやホウレンソウの卸値は例年の2〜3割減、スーパーでは半額以下の特価も。消費者のほおはゆるむが、深刻なのが生産農家。出荷すればするほど赤字が増える「豊作貧乏」が続く。8日の徳島市の最高気温は昨年より5・6度高い12・8度。「早く寒波が来て生育を止めて」との悲鳴も聞こえてくる。

(志村英司、松谷慶子)

 「今晩はおでんで決まり」「鍋の季節到来」——。徳島市内のスーパーや量販店の店頭にはこんな宣伝文句がいくつも並ぶ。キョーエイ中央店(徳島市中央通1丁目)では今月上旬、キャベツ58円、レタス98円、ホウレンソウ78円、大根78円と例年の半額以下の値段がずらりと並んだ。近所の70代の主婦は「県産の野菜が安く食べられるのはうれしい」と顔をほころばせる。

 徳島地方気象台によると、10月の気温の高さは記録的だった。平均気温が、県内8カ所の観測地点のうち5カ所で観測史上2番目の高さ。徳島市では20・2度(平年18・5度)で、98年の21・1度に次ぐ。

 11月に入っても平年より1、2度高く、10月までに種をまいた野菜の生育は止まらない。出荷も予定より2〜3週間早まり、需要が高まる「鍋の季節」を待たずに、野菜が市場に集中することになった。

 JA全農とくしまによると、10〜11月の卸値は、レタスが1キロあたり84円(前年同期121円)、ホウレンソウは288円(同408円)と2、3割安い。こうした傾向は全国各地の産地でも同じ状況という。

 ホウレンソウ農家の美間亮さん(47)=徳島市国府町=は「もともと露地野菜は天候に弱く、値段の変動も激しいが、ここまで安値が続くとは……」と深刻な表情。レタス農家の瀬尾利正さん(53)=阿波市吉野町=も「値段が大幅に下がったからといって、二つ三つと余計に買う人はまれ。出荷に必要な経費を差し引くと利益はない」と顔を曇らせる。

 このままの気温が続くと、年明けの鍋料理が本格化する時期には、逆に品薄で出荷量が減り、卸値が高騰するのは必至だ。その時期を見こし、新たに種まきを始める農家も出てきたという。

 昨秋も温暖で、野菜の生育は早まったが12月に入って大型寒波の影響で成長が止まり、年末までに生産調整が間に合ったという。だが、同気象台によると、今年は月末まで平年気温を上回る日が多いとみられる。ある農業関係者は「せめて3日に1回は、霜が降りるぐらいの冷え込みがほしい」と話す。

http://mytown.asahi.com/tokushima/news.php?k_id=37000000612090003