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2006年12月08日(金) 00時00分

金銭授受ほのめかす/深川市官製談合事件朝日新聞

■市長選、資金援助も——東洋設備社長が供述

 深川市が発注した公共工事を巡る官製談合事件で、旭川市の建設会社「東洋設備」社長の赤坂政良容疑者(58)=競売入札妨害(談合)容疑で逮捕・送検=が道警の調べに対し、同容疑で逮捕された河野順吉・前市長(68)に、便宜の見返りとして現金を渡していたことをほのめかす供述をしていることが7日わかった。道警は2人を贈収賄容疑でも調べる。

 関係者によると、河野、赤坂両容疑者は、河野容疑者の市議時代からの知り合いで、無投票で再選した98年の市長選以降に急接近した。今年10月に河野容疑者が4選した市長選の際も、選挙資金を援助していたという。

 調べでは、赤坂容疑者は事件の舞台となった公共工事の指名競争入札の業者選定前に、河野容疑者に「仕事が欲しい」と要望。河野容疑者は「東洋でいいんじゃないか」と、市建設水道部長らに「天の声」で指示したとされる。

 結局、東洋設備を中心とした共同企業体(JV)が指名業者になった。

 調べの中で、赤坂容疑者は当初、談合の理由を「地元企業への仕事を優先させるため」などと話していたが、河野容疑者の逮捕など、捜査が進展するにつれて、供述を変えてきているという。

■市議時代から「蜜月」か

 談合の「天の声」を出した立場と、その恩恵を受けた立場として、ともに競売入札妨害(談合)容疑で逮捕された深川市の河野順吉・前市長と東洋設備(旭川市)の赤坂政良容疑者は、十数年前に河野前市長の市議時代、市内の旧北海道青少年スポーツセンター副館長を務めていたころに知り合ったとされる。同センターのボイラー修理などの管工事を東洋設備がすることが多く、後任の副館長は「故障したら自動的に東洋設備が直すシステムになっていた」と2人の蜜月ぶりを指摘しているという。

 東洋設備は近年は特に、深川市の大きな工事の受注が目立つ。00年の市経済センター(空調、1億3750万円)、02年の市立病院空調工事(空調、9億4千万円)、今回の06年納内小学校(機械設備、5150万円)など。

 一方で昨年は比較的小さな市営住宅(機械設備、1470万円)の工事も受注し、「よその地域から来た空調設備の大きな会社がこんな仕事を取るとは」と、地元業者から不満が噴出していたという。

 赤坂容疑者は気前がいい業者という評判だった。4年ほど前、市立病院で改築担当をしていた関係職員が同容疑者から接待ゴルフや贈り物攻勢を受けていた、との話を聞いた市職員もいる。「赤坂容疑者は金を渡して仕事を取るのが専門」との評が同業者の間で流れていた。

 事情に詳しい同業者は「地元業者が優先される深川市で市外業者が仕事を取るには『営業経費がかかる』と言われている。副館長から市長になり、2人がより親しくなったことが仕事の多さにつながったのではないか」と話している。

■市役所など7カ所 家宅捜索/道警

 深川市が発注した公共工事の官製談合事件を巡り、河野順吉市長(68)を競売入札妨害(談合)の疑いで逮捕した道警は7日、深川市役所や市内の河野市長の自宅など計7カ所の家宅捜索をした。

 市役所では午前10時45分ごろ、職員が不安げな表情を浮かべるなか、捜査員が正面玄関から庁舎に入り、2階の市長室などを調べた。捜索に先立ち、野原栄一助役が会議室で職員120人を前に、市長逮捕の経緯を説明した。

 また、深川市3条にある河野市長の自宅にも、捜査員5人が段ボールを手に入っていった。

■河野容疑者 市長を辞職——1月21日投開票へ

 競売入札妨害容疑で逮捕された深川市の河野順吉市長は7日、市議会に辞表を提出し、本会議で同意されたことから、同日付で辞職した。

 市には7日午前9時過ぎに、市長の弁護士から電話があり、辞意が伝えられたという。職員が警察署に出向き、同日付の辞職願にサインを受けた。本人は退職金や期末手当、給料を返上する考えを述べたという。

 市選管は1月14日告示、21日投開票の市長選を実施することを、8日に決める。

■23市、OBが再就職——主要建設業協会 断交は「否定」

 深川市の談合事件では市の幹部が地元建設業協会の事務局長として天下りをし、談合に主要な役割を果たしていたことが明らかになりつつあるが、道内35市にある41の主要な建設業協会を朝日新聞が調べたところ、23市(23団体)で市職員OBが事務局長などの要職に再就職していた。各協会は「談合といわれるようなことはない」としている。

 北海道建設業協会に入る11の地方建設業協会のほか、各市に独自にある建設業協会を合わせた計41団体に取材した。市職員OBが再就職していたのは、23市にある23建設業協会。いずれも役職者で、20人が事務局長、2人が専務理事、1人が参事だった。

 深川市と同じように、市の発注元である建設、水道関係の部署を経験していた職員の再就職は9市であった。北見市では、3代続いて建設関係にいた元幹部が再就職している。

 赤平市では00年に市幹部による贈収賄事件が摘発された。公判で検察側から、建設業協会主導による受注調整の実態や市幹部が下請け業者選定を受注業者に指導する慣行などが指摘されたが、市から建設業協会への再就職は行われている。

 再就職が行われる背景について、当人たちは「協会から要請されるから」と話す。また、協会側がそれを求める理由については「(特定企業に偏らずに)中立で帳簿が読め、法規などに通じている人材は官庁しかいないからでは」(石狩市のOB)などと説明している。

 再就職した元市幹部の多くは「談合はうちではありえない」と話している。

■市の退職者が再就職した建設業協会のある市■
●発注部でない退職者がいる協会
小樽、釧路、岩見沢、稚内、美唄、芦別、紋別、士別、名寄、三笠、砂川、登別、恵庭、伊達
●発注部の退職者がいる協会
帯広、北見、網走、留萌、苫小牧、赤平、滝川、深川、石狩
(朝日新聞社調べ)

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000612080005