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2006年12月08日(金) 10時17分

塾の安全管理進んだか 宇治・女児殺害1年 講師の犯罪やまず京都新聞

事件から間もなく1年。宇都宮市で最後を迎えた「安全対策セミナー」だったが、50席のうち20席は空席だった(11月27日)    京都府宇治市の学習塾「京進宇治神明校」で昨年12月、当時小学6年だった女児が、アルバイト講師の萩野裕被告=公判中=に刺殺されて、10日で1年がたつ。事件は「塾の安全」を問い、塾各社は、講師の採用・管理体制を強化したが、「講師の犯罪」は続いている。
 「京都の事件では監視カメラもあった。でも、いるはずのない日に講師がいた」「タイムカードを押さない塾がまだある」「面接も研究を」。11月27日、宇都宮市内のホテル。業界団体の全国学習塾協会が開いた「学習塾等に通う子どもの安全対策セミナー」で、同協会の関志郎理事は講師の選考管理の重要性を説いた。
 ■最大の課題は人
 宇治の事件で京進宇治神明校は、萩野被告が窃盗、傷害事件を起こして停学中であることを知らずに講師に採用。女児の両親が被告の”異常性“を塾側に再三訴えていたにもかかわらず、有効な対策が取れなかった。
 京進は事件後、上半期だけで約5000人に上る全講師に在学・卒業証明書を提出させ、ストレス対応などの研修を実施。校長には「危機察知研修」を行い、講師の言動や保護者の訴えを本部が直接チェックする体制も設けた。「人は最大の課題」(社長室)。
 採用時に保護者以外の第三者から保証印を求める(成基学園)、法令順守研修の導入(浜学園)…。「塾の安全」に保護者の関心が集まる中、同業他社も対策を進める。
 だが、講師による犯罪はその後も続いた。大津市内の塾では7月、非常勤講師が宿題を忘れた生徒に暴行したとして書類送検された。大阪市内の塾でも11月、講師が生徒の胸を触ったとして逮捕されている。
 ■背景に人材不足
 講師の事件はなぜなくならないのか。京進に6年間勤めた経験のある教育ライターの山口照美さん(33)は、「事件当時、京進の講師採用率は7割以上だったと聞く。正社員の離職率も高く、安くて頭数が確保できる大学生に塾業界は依存してきた」と、正社員化や昇給などの待遇改善をせず、人材不足とそれに伴う過酷な労働条件が慢性化している業界の矛盾を指摘する。全国学習塾協会が塾5000社を対象に昨年3月に実施した「学習塾業の雇用管理に関するアンケート調査」によると、過去3年間の採用で、講師がすべて非正社員の社は43%に達し、75%以上の社も36%あった。
 業界の人材不足にさらに追い打ちをかける事態も進んでいる。大手塾各社は近年、生徒2人に講師1人が付く「個別指導」タイプの塾を軒並み増やしている。「事件後、新規開校は自粛した」という京進でさえ、個別指導校は全310校のうち210校を占める。30人に1人で済んだ講師が、個別指導では15人必要になる計算だ。
 ■「風化」の兆候も
 一方、事件は早くも風化の兆しを見せている。冒頭の「安全対策セミナー」は京都市内で3月に初めて開かれ、定員いっぱいの200人が会場を埋めた。だが、大阪市など9月から全国七都市で開いたセミナーは参加者が毎回減少。最終回となった冒頭の宇都宮市では、北関東全域が対象だったにもかかわらず参加はわずか30人で、講演後の質問もゼロだった。
(京都新聞) - 12月8日10時17分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061208-00000003-kyt-l26