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2006年12月07日(木) 00時43分

<振り込め詐欺>被害額、3年連続200億円突破毎日新聞

 振り込め詐欺の全国の被害額が10月末現在で201億9000万円になり、3年連続200億円を突破した。親族を装う「おれおれ詐欺」が半分以上の115億円を占めるが、最近は国税局や裁判所など公的機関を装った「架空請求詐欺」の被害が目立つ。毎年12月は、融資をするふりをして逆に保証金を振り込ませる「融資保証金詐欺」が増加するため、金融機関も注意を呼びかけている。【高島博之、三木陽介、平地修】
 ◇訴訟名目に架空請求
 「すぐに民事裁判取り下げ費用を振り込んで下さい」。今年2月上旬、愛知県設楽町の無職女性(39)宅に「民事管理事務局」という公的機関を装ったはがきが郵送された。2回にわたって計100万円を振り込ませた東京、横浜の詐欺グループが6日、愛知、神奈川両県警の合同捜査本部に逮捕された。民事訴訟名目の振り込め詐欺の摘発は全国で初めてだった。
 容疑者は高校生の少年(18)と20歳代の4人の計5人。「民事訴訟特別通達書」と題したはがきを見て電話してきた女性に、「すぐに裁判を取り下げる必要があるので、その費用を振り込んで下さい」と40万円をだまし取った。さらに「裁判相手が60万円持参した。同額支払わないと取り下げできない」とうそをいって60万円を振り込ませた。このグループは、全国で500件、約7億円を詐取したとみられる。
 公的機関を装った「架空請求詐欺」で、最近急増しているのが、国税局や税務署の税金還付を装って、ATM(現金自動受払機)から現金を振り込ませる手口だ。
 先月確認されただけで28件、約3000万円。被害が目立ち始めた今年6月からは、北海道から福岡まで15都県で計113件、約9000万円に上る。「納税ご返金のお知らせ」などの手紙を送り付け、問い合わせの電話をすると、ATMの前に行くよう誘導。キャッシュカードの挿入や数字の入力を携帯電話で指示され、従えば自分の口座から現金を振り込む羽目になる。
 ◇銀行も警戒強化…限度額の下げ強化
 事件には、不正な預金口座が使われることが多い。このため金融機関は、窓口で口座開設を受け付ける際の本人確認を強化。さらに被害額を抑えるため、ATMの1日の取扱額を引き下げて予防効果を高めている。
 窓口で偽造免許証などを使われると、「注意していても、なかなか見破るのは難しい」(大手行)のが実態。ところが、りそな銀行の東京都内のある支店では、同じ女性行員が今年に入って4回も、偽造免許を見破った。そぶりなどから注意深く確認したためだが、それだけ偽造免許が横行しているといえる。
 他行に先駆けて昨年9月、ATMで1日の引き出し限度額を500万円から50万円に引き下げたみずほ銀行。同行口座の悪用が半減する効果を上げた。振り込め詐欺の1件当たりの被害額が200万円前後のため、全額引き出すには4日かかり、犯人にとってはわずらわしくなるためだ。
 三菱東京UFJ銀行も今年9月から、引き出し限度額を200万から50万円へ。さらに、被害額を最小限に食い止めるため、ATMでの現金振り込み限度額も1日200万円から150万円に引き下げている。
 年末年始は金融機関の業務が多忙になる。詐欺グループの活動が活発にならないよう警戒を強化していく。
 ◇警察、「七つ道具」封じ込めに全力
 警視庁が振り込め詐欺撲滅のために躍起になっているのは、「七つ道具」の封じ込めだ。七つ道具とは、(1)口座(2)携帯電話(3)連絡先名簿(4)アジトなどだ。
 被害金を奪われる方法の9割が金融機関口座への振り込みだ。最近は民間私書箱などを使う手口も目立ち始めたが、やはり他人名義の口座が使われることが多い。
 匿名性が高く悪用される「プリペイド携帯電話」については、今年4月施行の携帯電話不正利用防止法で新規契約や貸与に身分確認などが義務付けられるようになり、同法が摘発に有効に使われているとされる。
 しかし、愛知県警が今年4月、携帯電話ブローカーを同法違反容疑で逮捕した事件では、ぺーパー会社名義の携帯電話が既に約9000台流通していたことが判明した。「根本的な解決策にはならない。偽造身分証を使われたらおしまいということだ」(猪狩俊郎弁護士)との指摘がある。
 名簿もだましの必須アイテムだ。警視庁は今年2月、銀行員の男が、法人638社分と個人客630人分の顧客情報を持ち出したとして業務上横領容疑で逮捕した。この名簿がおれおれ詐欺グループに持ち込まれた可能性が指摘されている。
 今年5月には、おれおれ詐欺グループにアジトとしてマンションの部屋などをあっせんしていた不動産会社の社員を警視庁が犯人蔵匿容疑で逮捕した。犯罪を助長する行為の摘発も進めている。
(毎日新聞) - 12月7日0時43分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061207-00000001-mai-soci