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2006年12月07日(木) 20時17分

流用・裏金改めて否定朝日新聞

 県警が6日、新たに明らかにした計776万円の不適切な支出。9月に公表した分を合わせると、00〜04年度に支出された県警本部と全16署の捜査報償費(県費)と捜査費(国費)のうち「執行手続きに問題があった」などとしたのは計1123万円となったが、「内部調査の結果では、私的流用や裏金の存在はなかった」と改めて断じ、県監査委員や高松高裁判決が指摘した組織的な不正経理疑惑を否定した。橋本知事が「県民の受け止めから見れば、まだまだ疑問を感じる点が残っている」と述べる一方、県警は「最大限の努力をした」と調査結果を評し、一連の調査を終結させるとした。

 今回の調査結果では、「捜査費(国費)執行状況等一覧表」についても触れた。この資料は、市民オンブズマン高知や高知新聞が県警の内部資料とした上で、記載された捜査協力者は実在しない疑いがあると指摘していたが、県警は「県警の会計経理の過程で作成されるものではない」「02年度当時の捜査1課職員に聞き取り調査をしたが作成した事実はない」と結論づけて内部資料ではないとした。県警の村田達哉・警務部長は記者会見で、この資料の出所については「調査したがわからない」とした。

 02年4〜10月に支出された捜査費42件について記された一覧表と、県警が高松高裁判決を受け開示した捜査費関連文書とは、支出金額、精算年月日などについて42件ほとんどで合致している。

 開示文書では黒塗りにされている協力者の氏名について、村田警務部長は一覧表と開示文書とで「すべてが一致しているわけではない」と述べたうえで、開示文書中の協力者については「もちろん、すべて実在している」と述べた。ただし、協力者に対する調査はしなかったという。

 一覧表に対する県警の調査結果について市民オンブズマン高知は同日に出した談話の中で、「県警は一致しない部分が多数あると弁明するが、それならば一致していないのは(黒塗りにしている)事件名と協力者の氏名ということになる。一覧表についてだけでも、黒塗り無しの文書を開示して主張すべきである」と反論している。

 今回の調査では、00〜04年度に支出された県警本部と高知署を除く15署の捜査報償費(県費)と県警全体の捜査費(国費)の計約2億8940万円(国費2億3731万円、県費5209万円)を調査。返還するとした約776万円(国費536万円、県費240万円)は、調査全体の2・7%にあたる。県警本部各課と全16署のうち、捜査費・捜査報償費の支出に全く問題がなかったのは、04年度に新設された県警本部の生活環境課だけだった。

 内訳は「執行手続き上問題があった」が712万円、「執行した捜査員の十分な供述が得られなかった」などが計64万円で、いずれも請求書類などに「協力者保護のため安易に事実と異なる接触場所を記載するなどした」とした。改善策として、外部の公認会計士に助言・指導を委嘱することなどを挙げている。

◆キーワード◆

 県警の捜査費不正支出疑惑

 疑惑は「県警が02年度、実在しない協力者を仕立てて捜査費(国費)を不正に請求した」という高知新聞の報道(03年)で浮上。00〜04年度に支出された県警本部と高知署の捜査報償費(県費)を対象として県が特別監査を実施し06年2月、全体の35%にあたる計1792万円について「違法」または「不適正」とする監査結果を公表した。

 また、市民オンブズマン高知が県警本部長を相手取り、02年度の捜査費関連文書の非開示処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決(06年9月)では高松高裁が、「当時、県警本部で組織的不正経理に対する疑惑が存在していた」と指摘している。疑惑にからみ市民オンブズマン高知は03年、02年当時の捜査1課長らを詐欺や虚偽公文書作成・同行使の疑いで高知地検に告発。同地検はこれを不起訴処分としたが、検察審査会は06年10月、この処分を「不起訴不当」と議決した。

■鈴木本部長一問一答■

「調査尽くし結論」

 ——特別監査や高松高裁の指摘と県警の考えとはなお、食い違っているが。

 「しっかりとした調査をした結果で、組織的な不正や私的な流用はなかったということだ」

 ——捜査費についての調査は終わりか。

 「今回、調査を尽くしたので、今後は行わない」

——捜査協力者への調査をせずに不正はなかったと言えるのか。

 「書面調査、店舗関係の調査、捜査員の調査によって、調査を尽くした上で結論を出したと考えている」

——捜査費についての一覧表と県警の資料とは、日付、金額などかなりの点が一致しているが、どこから出たものなのか。

 「私たちの組織から出たものではないし、職員が個人的に出したというものでもない、ということは確認している。ただ日付、金額などかなり一致する部分はある。情報が内部から出た可能性もふまえて調査したが、どこから出たのかは判明しなかった。しかし、警察から出たものではないということを確認した」

■県民が納得する形望む/知事

 橋本知事は本会議後に記者会見し、県警の報告と県監査委員の特別監査の結果を対比させ、「私は監査結果に重きを置いている」と述べた。「守秘義務を持っている監査委員に対して県警がもっと情報を開示し、県民が納得する形で調査が進んでくれればと思う。議会での質疑を見た上で、遠くない時期に県としての対応を判断したい」と話した。

 奴田原訂・県代表監査委員は本会議後の取材に対し「(県警の調査結果が)十分かどうかは県民が判断すること。一定の自浄作用は働いた結果ではないのか。末端の捜査員の皆さんのやったことということになっているが、それも県民が判断すること。監査委員の再監査は、議会や知事から要請があればただちに着手する」と話した。

http://mytown.asahi.com/kochi/news.php?k_id=40000000612070003