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2006年12月06日(水) 08時21分

近未来通信、投資家開拓に報酬 勧誘、マルチ商法まがい朝日新聞

 IP電話事業者「近未来通信」の投資詐欺事件で、同社が投資家の一部と代理店契約を結び、「新たに投資家を開拓すると40万円以上の手数料を支払う」として投資家を増やし、被害を拡大させていたことがわかった。より多くの金を集めるために古典的な悪徳商法の手法を取り入れていたとみられ、被害対策弁護団は「マルチ商法まがい」と指摘している。

 30代の男性は昨秋、中継局オーナーになるため近未来通信に1600万円余りを投資した。代理店契約を結び、その後2人を勧誘。配当と代理店収入合わせ、約300万円が同社から支払われた。配当180万円、勧誘の手数料が自分を含め3人分として120万円だった。「当初聞かされていた通りの展開。だまされているなんて夢にも思わなかった」

 同社の資料によると、代理店の資格を得るには加盟金105万円を支払う。同社の投資金集めの柱だった中継局オーナーを1人開拓するごとに40万が手数料として渡るシステムだった。同社は新聞広告やテレビで派手な宣伝を展開しており、代理店になれば店舗を持たずに本社名入りの名刺や領収書を使って営業できるとうたっていた。

 代理店となった人は、それぞれがホームページ(HP)を立ち上げたり身近な人に呼びかけたりして勧誘を展開。あるHPには「私も中継局オーナー。ゆとりある老後の生活資金に」と、近未来通信本体のHPとうり二つの宣伝文句が並ぶ。

 男性によると、代理店としての仕事は新たな投資家候補を同社の説明会に連れて行くことだった。会場では、待ち受けた同社幹部や社員らが投資内容を説明。連れてこられた人が中継局オーナー契約を結べば、代理店側に手数料が振り込まれる仕組みだったという。

 初めに手にした300万円以降、男性に配当などが支払われることはなかった。

 男性は「会社が自転車操業状態になっているなんて全然知らずに勧誘してしまった。勧誘先への責任もあるので、(行方をくらましている)社長は表に出て事業のすべてを明らかにしてほしい」と憤る。

 マルチ商法は、商品を売れば手数料が入るなどとして、新たな販売員を獲得した者にはそのたびに手数料が入る商法。それ自体は違法ではないが、手数料目当ての勧誘が次々と繰り返される中でトラブルが生じやすいため、特定商取引法が「連鎖販売取引」と定義し「不適切な勧誘の禁止」などの規制を定めている。

 被害対策弁護団の只野靖弁護士は「高額の紹介料にひかれて精力的に勧誘した代理店契約者は、結果的に被害拡大に加担してしまった形だ」と指摘している。

http://www.asahi.com/national/update/1206/TKY200612050435.html