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2006年12月05日(火) 23時45分

臓器売買事件初公判、2被告が起訴事実認める朝日新聞

 愛媛県宇和島市で起きた生体腎移植をめぐる臓器売買事件で、臓器移植法(臓器売買等の禁止)違反の罪に問われている同市の水産会社役員、山下鈴夫(59)と、同社社長の松下知子(60)両被告の初公判が5日、松山地裁宇和島支部(福井健太裁判長)であった。2被告はいずれも起訴事実を認めたが、移植手術を執刀した万波誠医師(66)に、謝礼の授受などについて事前に相談していたと明かした。

ギャラリー用:初公判を受け記者の質問に答える宇和島徳洲会病院の貞島博通院長

 検察側は「臓器提供の公平性を損なった」などとして、それぞれ懲役1年を求刑し、即日結審した。判決は26日に言い渡される。

 被告人質問で、松下被告は「臓器提供者についても対価のことも話した。(万波医師は)話しやすい人だった」と供述。山下被告は、万波医師から「金品を渡すと法に触れる」と指摘されたが、謝礼の金額について「ちらほらと耳にするが、1本程度じゃないか」とも告げられ、100万円程度と受け取ったと述べた。万波医師は朝日新聞の取材に、「相談など受けていない」と改めて関与を否定した。

 検察側の冒頭陳述などによると、内縁関係にあった山下、松下両被告は05年夏、知人だった松山市内の貸しビル業の女性(59)に対し、山下被告に腎臓を提供するよう依頼。女性の承諾を得て宇和島徳洲会病院で移植を受け、その謝礼として同11月に現金30万円を、今年4月に乗用車の新車(150万円相当)をそれぞれ渡したとされる。

 論告で検察側は「善意・任意の臓器提供という移植の基本的なあり方を阻害しており、社会的警鐘を促す意味でも厳重な処罰が必要」と主張。弁護側は「最初から臓器を買い取ろうとしたわけでなく、臓器提供者が身内にいなかったから犯行に至った」などと、情状面での配慮を求めた。

 臓器移植法違反容疑での初摘発となった今回の事件で、女性は罰金100万円などの略式命令を受けた。万波医師については手術前に臓器売買を知っていたかどうか確認できないとして、刑事責任は問われていないが、事件発覚後、病気の腎臓で移植を繰り返していたことが同病院の調査で表面化。厚生労働省などが実態解明を進めている。

http://www.asahi.com/national/update/1205/TKY200612050296.html