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2006年12月05日(火) 03時02分

近未来通信「すぐ配当の特別枠」乱発して勧誘読売新聞

 詐欺容疑で警視庁の強制捜査を受けたIP電話会社「近未来通信」が、投資家に「すぐに配当を受け取れる特別なサーバーを譲る」と持ちかけ、入金を迫っていたことが関係者の話で分かった。

 このサーバーは「特別枠」と呼ばれていたが、担当役員の裁量で乱発され、同社は資金繰りが悪化した9月以降は、別の役員が「特別枠が売れないと配当できない」と社員にハッパをかけて大々的に募集。根拠のないセールストークを最後まで続け、被害を一層拡大させた形だ。

 近未来通信は、インターネット網と電話回線を結ぶ中継局のサーバー設置費を投資家に負担してもらい、電話利用者が払う通信料から投資家に配当すると宣伝していた。

 投資家は、サーバーの運用経費も毎月、負担する契約になっており、同社は「電話利用者は段階的に増えるため、通信料収入がサーバーの運用経費を上回るまでに8か月から1年ぐらいかかる。当初は配当は出ない」と説明。配当ですべての投資金を回収できるまでに、平均3年としていた。

 一方、「特別枠」は、当初から投資家への販売目的だった普通のサーバーと異なり、同社が保有するサーバーを「投資家への利益還元」と称して特別販売していたもの。通信料収入が既に運用経費を上回っており、「すぐに配当が受け取れる」ことがセールスポイントだった。

 同社の説明では、特別枠は特定の中継局にしかなく、数量も限られていたはずだった。しかし、希望する投資家が現れると、営業社員が担当役員に相談するだけで、ほぼその通り販売できたという。通信料収入が運用経費を上回るはずのない開局したばかりの海外中継局で、特別枠が出されることもあった。

 読売新聞が同社の疑惑を報道した後の9月以降、特別枠の募集は急拡大。通常約1100万〜2200万円のサーバー代金は約900万〜1800万円に値引きされ、申込数にも限度を設けなかった。

 投資家に「こんなおいしい話はない」と持ちかけて販売した営業社員もいたといい、10月初旬の社内会議では、当時の専務が「特別枠の入金がないと配当が生まれない」と発言。社内では、特別枠の大募集は「投資家への利益還元」などではなく、「金集めの口実」と受け止められていた。

 総務省などによると、投資家が購入したサーバー2466台のうち稼働しているのは7台だけ。海外中継局のサーバーは1台も稼働していないはずだったが、同社代理人の弁護士(現在は辞任)は今年10月、「特別枠は無限ではないし、投資家の要望通りには販売しているわけではない」と説明していた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061205i201.htm