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2006年12月04日(月) 00時00分

【関連】投資家へ計算書 「でたらめ実績」計上 東京新聞

 インターネット技術で通話料を安くするIP電話事業を推し進めると誘いかけ、多額の事業資金を集めながら、先月二十日には本社や支社が一斉に閉鎖状態となった「近未来通信」。その偽りの“夢事業”の実態解明に四日朝、警視庁が乗り出した。だが「遅すぎる。重要証拠が処分されたのではないか」の声も。配当が滞って約三カ月−。投資家からの怒りや不安の声が、師走の空に響いた。 

 近未来通信がオーナーになった投資家たちに毎月送っていた、発着信件数や配当額などを記した「中継局還元計算書」は根拠がないものだった可能性が高い。総務省の調査でも、同社には電気通信事業収入がほとんどなかったと判明している。

 同社に五千万円を出資した都内の会社経営の男性(52)のもとには、毎月十日、計算書が郵送された。一カ月間の発着信件数と発着信の総時間、通話料金が記され、利益合計から設備保守費などのランニングコストを引いた配当額を、オーナーに報告するものだった。

 ところが報告内容に疑問を持った男性が、計算書を分析。月ごとに発着信の件数と時間数が異なるのに気付いたが、一件あたりの平均時間をはじき出してみると、二年間毎月同じになっていたことが分かった。

 最初に計算書が送られた〇四年六月の着信総時間数は一万千六百八十分で、着信件数千四百四十二件。これを割ると、一件あたり約八・一分。だが、その後も月ごとに追って調べると、今年六月まですべて八・一分になった。発信も同様に、〇四年六月から今年六月まで約八・四分のままだった。

 男性は「計算書だけを見ると気付かなかった。普通の通話で発生した数字ではない。計算書は、オーナーを信用させるためのでたらめだったのでは」と指摘する。男性は同社を相手取り、返金を求める提訴をした。計算書の不審点もただしたが回答はまだないという。

■怒りの投資家『対応、遅すぎた』

 近未来通信への強制捜査を知った投資家たちからは、同社への怒りの声があがった。

 千二百万円を投資したという埼玉県の自営業の男性(59)は、テレビのニュースで捜索を知った。被害者として声を伝えなければ−。そう思い警視庁に電話した。

 「こんなにいんちきとは思わなかった。初めは会社をつぶさず、ほそぼそと配当をもらえればいいと思ったが、もうそんな段階ではない。完全な詐欺だ」

 九月に二人一組で約七百四十万円を出資した男性は「許せない。実情を知っていただろうに、代理店として勧誘に加わったオーナーもいた。共犯者のようなものだ。関係機関の対応もあまりに遅かった。なぜ見抜けなかったのか。野放しして被害者を増やしたようなものだ」と憤った。

 知人の紹介で五千万円を出資した都内の会社経営の男性(52)は、「捜査が入るのも時間の問題だと思っていた。個人としてやることはないので、静観する」とあきらめた様子で語る。「九月ごろから近未来通信はおかしいと思っていた。でも、総務省の調査結果を知り、ここまでひどかったのかと驚いた」。同社からは先日、手紙で質問などに対応するという知らせがあったばかり。「それももう無理なんでしょうね」と声を落とした。

■被害者救済早急着手を 弁護団コメント

 近未来通信被害対策弁護団長の紀藤正樹弁護士は、警視庁の強制捜査着手を受け「犯罪摘発だけでなく、被害者救済も早急に進めてほしい」とコメントした。

 改正組織犯罪処罰法が施行されたのは今月一日。起訴前であっても、ヤミ金融事件や振り込め詐欺など組織犯罪で奪われた財産を国が没収・保全できる内容が盛り込まれた。

 紀藤弁護士は「警視庁には起訴前の資産保全処分を検討してもらい、早急な被害者救済をお願いしたい」と語った。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061204/eve_____sya_____002.shtml