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2006年12月03日(日) 00時00分

ネット上の世界 米で入居者急増 東京新聞

 インターネット上だけに存在する仮想世界「セカンド・ライフ」が米国で注目を集めている。利用者自身がキャラクターとして仮想世界に登場し、コンサートやショッピングなどを楽しめるサービス。現実とは異なる「第二の人生」を手軽にネット上で楽しめることからブームを呼び、“住人”は百三十万人にも増大。一般の企業などが広告や商品開発などに利用するなど現実世界をも「浸食」し始めた。 (ニューヨーク支局・池尾伸一)

■来年にも日本版

 セカンド・ライフは、シリコンバレーの企業「リンドン・ラボ」が開発したサービスで、来年をめどに日本版も開設する。

 3Dによる仮想の大陸や島々からなり、住宅地や広場、ショッピングモールなどが点在している。利用者は自分の分身となるキャラクターを設定して、これらの場所を自由に訪問、ほかの住人たちとチャット(会話)したりショッピングができる。

 人気の秘密は現実世界では到底不可能なことが実現してしまうこと。「分身」は写真を基に自分とそっくりにも設定できるが、トム・クルーズ並みの美男子や動物、サムライなど好きなものに成り代わることが可能。空を飛んだり、水に潜ったり、テレポートもできる。

 仮想空間を分身で探索するのは無料だが、買い物をする場合は実際のドルに換金可能な「リンドン・ドル」(一ドル=三百リンドン・ドル)という独自通貨を使用する。この通貨で仮想世界上の土地を借り、好きなデザインの「自宅」を建築することも可能だ。

 借地代は家が一軒たつ面積で五ドル。この土地の借用代がリンドン・ラボの主要な収入源となっている。

■大学教授が講義

 “住人”の増加に目をつけ、企業も参入している。日産自動車は広い土地を購入して「ニッサン島」を建設。巨大な自動販売機から利用者が同社の車「セントラ」を購入、仮想のテストコースで試乗できるようにした。トヨタも新車のプロモーションに同サイトを利用する。

 音楽業界ではロック歌手のベン・フォールズ氏が、アルバムを宣伝するため、自らキャラクターとして登場、コンサートを開催した。

 市場調査に利用する例も。シェラトンホテルは来年オープンする予定のホテルを実際の設計図通りに仮想空間に建設。利用者からデザインや使い勝手について意見を聞き、オープン前にデザインの改善に役立てている。

 ハーバード大学は実際の同校そっくりの大学を建設。教授陣の「分身」による講義も開始した。

■課税問題も浮上

 大企業はまだ宣伝が主体だが、個人レベルではブティックを開店し、キャラクター向けの服や靴を販売したり、借地を整地して企業に賃貸する「不動産業」を営業するなどで実際に収益を上げる人も増加。同空間では月に九百万ドル(約十億円)も実際のお金が動き、米国議会は仮想空間上の収益にどう課税するかを議論し始めた。リンドン・ラボは利用者が仮想店舗を訪れて買った本や衣服が配送されるのも一般的になると予想する。

 社員がなかなか集まることができない多国籍企業では、それぞれの「分身」が出席しての社内会議に利用するところも現れるなど用途は拡大中。3D専門のエレクトリック・シープ社のコンスターブル副社長は「利用者が創造性を発揮できる上、ほかの人々ともコミュニケーションできるのがユニークな点」と指摘。ゲームを通じて3Dにはなじみ深い日本でもハマる人が出てきそうだ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20061203/mng_____kakushin000.shtml