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2006年12月01日(金) 18時40分

少年に懲役14年判決 板橋の両親殺害で東京地裁朝日新聞

 東京都板橋区の社員寮で昨年6月、管理人だった両親を殺害したとして殺人などの罪に問われた当時15歳の長男(17)の判決が1日、東京地裁で言い渡された。栃木力(つとむ)裁判長は「強固な殺意に基づく、計画的ではなはだ悪質な犯行」と指摘。「被告の内省はいまだ深まっていない。責任を自覚させるため、行為の重大性に即した刑罰を与えることが必要だ」と述べ、懲役14年(求刑・懲役15年)を言い渡した。弁護側は控訴の手続きをとる方針。

 長男は犯行時15歳10カ月。49年の少年法施行後、16歳未満の少年に対する最も重い量刑となった。改正少年法が01年に施行され、刑事罰の対象の下限が16歳から14歳に引き下げられる以前であれば、刑が科せられること自体がなかった。

 弁護側は起訴事実について争わず、長男の家庭環境や心理状態、再犯の可能性などを中心に審理が進んだ。少年刑務所での処罰と少年院などでの保護処分のいずれがふさわしいかが争点となり、弁護側は保護処分を念頭に家裁への移送を求め、検察側は厳罰化の立場から懲役15年を求刑した。

 判決はまず、保護処分が相当とされるのは、犯罪状況や家庭環境などを総合的に考慮した上で「保護処分が社会的に許容される」場合だとする一般判断を示した。

 続いて、殺害の様子について、父親に鉄亜鈴を打ち付けた後、口元から出ていた空気が漏れるような音を止めようと包丁を首に突き刺した▽包丁で刺され、テーブルの下に逃げ込んだ母親が力尽きるまで何回も突き刺し続けた——と指摘。「執拗(しつよう)で冷酷、残忍というほかない」と強調した。

 さらに、父親による虐待や不適切な養育が背景にあったとする弁護側の主張を検討。「両親との心の交流が円滑でなく、不満を募らせたと推察されるが、親子関係の持ち方に問題があったと評価できるだけで、虐待には当たらない」と退けた。

 栃木裁判長は「行為の重大性に即した刑罰により、社会が納得し、被告が将来社会復帰した際、社会が被告を受容し、ひいては被告が健全な社会生活を営むのに資すると考えられる」として刑事処分を選択。「本来は無期懲役刑だが、少年法の規定で減刑して懲役14年とする」と結論づけた。

 16歳未満の懲役刑にはこれまで、02年に福島県で起きた強盗強姦(ごうかん)事件で懲役3年6カ月以上6年以下の刑が確定した犯行時15歳の少年の例がある。

     ◇

 〈板橋両親殺害事件〉 東京・板橋の社員寮で昨年6月20日、当時15歳だった長男が寮管理人だった父親を鉄亜鈴で殴り、包丁で刺して殺害。母親も刺殺した。その後室内にガスを充満させ、電熱器を作動させ爆発させた。長男は、寮の掃除など手伝いの量が増えたことなどから両親への不満を募らせ、ゲーム機を壊されたことなどから父親に殺意を抱いていた。直接のきっかけは「テレビを見ずに勉強しろ」という父親との口論だった。事件2日後に群馬県の草津温泉で逮捕され、東京家裁に送致された。家裁が「罪の重さに見合った刑罰を与えるべきだ」と地検に逆送し起訴された。

http://www.asahi.com/national/update/1201/TKY200612010255.html