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2006年11月30日(木) 00時00分

高齢者用住宅リフォーム 業者任せにしないで 東京新聞

 高齢になり体が不自由になったときや、将来の事態に備え、必要になるのが、住宅に手すりやスロープなどを設置するバリアフリー化だ。このとき注意したいのが、リフォーム業者任せにしないこと。実際には使わない場所に手すりを設置するなど不具合が生じることもあるからだ。福祉や医療の専門家に相談し、体の状態や生活習慣に合ったリフォームをするのが望ましい。 (重村敦)

 ある介護支援専門員(ケアマネジャー)はこの夏、介護サービスを利用しているお年寄りの家を訪問し、驚いた。玄関や廊下、浴室、トイレなどに約二十カ所もの手すりを取り付ける計画が進んでいたからだ。お年寄りは車いすを併用した生活を送っており、リハビリのために家族が知人の建築業者に依頼したという。

 しかし、実際には手すりがなくてもテーブルにつかまるなどして伝い歩きができ、設置で車いすや家族が通りにくくなる場所もあったため、三カ所ほど手すりを減らすよう提案した。介護支援専門員は「加齢や病状の変化を考えると、住宅リフォームは段階的に進めた方がいい。できれば福祉や医療の専門家の目を通して」と話す。

 福祉関係者らによると、高齢者対応のリフォームで失敗が多いのは手すり。使う人の腰の高さやつえの長さが目安だが、高さが適切でないケースがよくある。トイレでL字形の手すりを左右逆に設置したり、トイレットペーパーのホルダーを使いにくい位置に設置したりと、業者の理解不足が原因と考えられる不具合も見られる。

 また、段差解消のため玄関にスロープを設置したが、滑りやすい材質だったという例も。スロープやエレベーターを設置しない方がいい場合もある。高齢者問題に取り組むNPO「ひだまりねっと」のメンバーで理学療法士の銭田良博さんは「つえを使って階段の上り下りをするリハビリもある。パーキンソン病の場合、スロープは逆に転倒する危険性が高い」と指摘する。

    ◇

 適切なリフォームをするにはどうすればいいのか。

 建築依頼は、バリアフリーに詳しい業者を選びたい。住宅リフォーム・紛争処理支援センター(東京)=(電)03・3261・4567=が認定する「増改築相談員」は高齢者対応のリフォームの知識を持ち、全国に登録者が約一万八千人いる。ホームページ=http://www.chord.or.jp/=で検索できる。

 ただ、体の機能を評価できる医療関係者や介護の専門家らの意見を聞くことも重要だ。けがや病気で入院し、リハビリ後に自宅に戻る場合は、事前にソーシャルワーカーや理学療法士、作業療法士らに相談するといい。

 また、建築、福祉双方の関係者が加わった東京都住宅バリアフリー推進協議会の住宅相談などを利用する手もある。

 リフォーム工事の際の注意点として、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの平井裕一朗さんは「手すりなら、取り付け作業前に握って位置を確認し、違和感があれば、工事の責任者に申し出ること」とアドバイスする。

 介護保険制度では、上限二十万円までの住宅リフォーム工事の補助がある。ただし、利用者は一割を負担。対象は主として手すりの設置、段差の解消、滑り防止のための床材変更、引き戸への変更、和式便器から洋式への変更の五つ。このほか、東京都をはじめ自治体ごとに補助制度があり、住宅金融公庫は一千万円を限度に所定の工事で費用の80%を融資している。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kur/20061130/ftu_____kur_____000.shtml