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2006年11月28日(火) 00時00分

「NPOバンク」ピンチ 貸金業法改正案、今国会で成立予定 東京新聞

 多重債務者を増やさないことなどを目的に、今国会で成立予定の貸金業法改正案が、市民や団体の非営利活動を支援する「NPOバンク」の活動を脅かしている。存続の危機にさらされる名古屋などのNPOバンク関係者は「銀行などから融資を受けられない層への支援は、社会にとって有益なのに」として、国会や金融庁に対し同法の適用除外を求めている。 (野口奈美)

 改正案のうち、NPOバンクにとっての障害となるのは▽都道府県への貸金業登録要件を「純資産五百万円」から「五千万円」へ引き上げる▽多額の加入料や月会費を必要とする業界団体や、個人への貸付総額を照会する信用情報機関への強制加入−など。悪徳業者に対する規制が、NPOバンクにも降りかかってくることになる。

 バンクを設立しようとする動きは全国に広がっているものの、登録要件が引き上げられると難しくなるという。若者を中心に昨年設立し、融資を準備中の「コミュニティ・ユース・バンクmomo(モモ)」(名古屋市中区)は、設立から一年間で約七百万円を集めたが、今秋にも始める予定だった融資募集を先延ばししている。

 やはり融資を準備中の「愛知コミュニティ資源バンク」(同市東区)の代表田中亨さん(60)は「現在の出資金約五千万円をすべて融資しても、金利収入は百五十万円程度。事務所の家賃、事務経費を捻出(ねんしゅつ)するのが精いっぱいだ」と話し、業界団体などへの加入負担金は難しい現状を打ち明ける。

 他県でも状況は似ている。二年半で約五千三百万円の融資実績がある「NPO夢バンク」(長野市)も、純資産が五千万円に達していない。理事長の和田清成さん(67)は「地方では多額の出資金が集まるとは考えにくい。活動を続けられるのだろうか」と不安を口にする。

 金融庁は「NPOバンクの実態はまだ、把握しきれていない。一般の貸金業者と何が違うのかが明確ではない」との立場。「非営利だから、などの理由で適用除外にするのは難しい」(企画課信用制度参事官室)としている。

 十八日には東京都内で、全国九つのバンクで組織する「全国NPOバンク連絡会」が緊急フォーラムを開いた。

 パネリストたちは「融資先や融資内容をインターネットなどで公開し、透明性の高い活動をしている」「高利貸しや違法な取り立てなどを行ったことはない」と、一般の貸金業者との違いを説明。参加者約六十人とともに、政令による適用除外を求め、金融庁や国会に働き掛けていくことを確認した。

 モモ代表理事の木村真樹さん(29)は「社会にとって市民の意思が反映される金融は必要。これを機会に多くの人にバンクの存在を知ってもらいたい」と話している。

 <NPOバンク> 任意団体の民間非営利団体(NPO)や、都道府県の認証を受けたNPO法人などが、市民からの出資を元に、環境や育児、福祉などの分野で活動するNPOや社会起業家に2−3%の低金利、無担保で融資する仕組み。社会性や事業主のやる気なども審査しており、銀行から融資が受けられないNPOの資金繰りを支えている。ミュージシャンの桜井和寿さんらが立ち上げた「ap bank」(東京)などが有名。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/ach/20061128/lcl_____ach_____000.shtml