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2006年11月28日(火) 22時56分

カネミ油症、仮払金放棄へ特例法 与党チームが骨子朝日新聞

 日本最大の食品公害とされる「カネミ油症事件」で、被害者救済策を検討していた与党のプロジェクトチーム(PT、小杉隆座長)は28日、農林水産省が被害者に返還を求めている損害賠償の仮払金計17億円余りについて、多くの債権を放棄する特例法案の骨子をまとめた。今国会に法案を提出し、早期成立を目指すという。公害被害者に対する債権を国が放棄する例は極めてまれだ。

 仮払金は、患者が国を相手に起こした損害賠償請求訴訟で、国に総額約27億円の支払いを命じた80年代の下級審の二つの判決で患者829人に払われた。その後、上級審の判決が国の責任を否定したことなどから患者側が訴えを取り下げたため、国が仮払金の返還を求めていた。

 法案では、昨年末の時点で計17億2700万円の債務を負っている患者510人のうち、生活に最低限必要な財産しかもたず、返還の資力がないと判断された患者への債権を放棄する。これにより債務のある患者の多くが、高額な人で1000万円以上あるとされる債務を免除される見込みだ。

 債権管理法では、国に債務を負う人が、支払いを10年間延期した後も返済能力がないと認められた場合などに限り、債務免除が認められている。特例法案では、履行延期の期間などにかかわらず、債務免除の特例適用の申請をした患者の資力を調査し、返済能力がないと判断された時点で債務免除する。

 また、与党PTは国やカネミ倉庫に対して、(1)治療法の研究の充実(2)油症の症状の医師らへの周知(3)患者が病院にかかった際の費用をカネミ倉庫に直接請求する医療施設を増やすこと、などを求める与党声明を出すことも決めた。

     ◇

 〈カネミ油症事件〉 68年、カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人たちが皮膚炎や内臓疾患などを訴えた食中毒事件。約1万4000人が被害を届けたが、認定患者は今年3月末現在で1892人。主因はダイオキシン類の一種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)とされる。患者の多くが高齢化して仮払金の返済や医療費負担などに苦しみ、政府に救済を訴えているほか、被害者としての認定を求めている人たちもいる。

http://www.asahi.com/politics/update/1128/012.html