悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年11月28日(火) 00時00分

手口『まるで詐欺』 近未来通信 高配当を強調 東京新聞

 IP電話事業で一般投資家から多額の資金を集め、通話料から配当を出すとしながら、本社事務所や支店を閉鎖した「近未来通信」(東京都中央区)。投資家には高配当を強調し、元本保証とも取れるセールストークで勧誘する一方、出資後にも月額数十万円のサーバー管理料や、赤字補てんを義務付けたケースがあったという。配当が滞り、老後の資金の回収もままならなくなった投資家も目立ち、「まるで詐欺だ」と怒りの声があがっている。

 「成長業界だし、利回りの良さにもひかれた。老後資金をつぎ込んだ」。埼玉県に住む自営業の男性(59)は二年ほど前にホームページで同社を知り、問い合わせた。「千二百万円ぐらい出せば、配当は最高で月六十万円。二、三年で元が取れます」との説明に出資を決意。だが、受け取った配当は計百九十万円。今年九月には滞った。

 都内の会社経営の男性(52)は知人の紹介で同社の事業を知り、二年前に約五千万円を出資した。元本保証だとは言われなかったが、「三年で取り戻せると言われた。事実上、元本保証だと思った」と話す。

 これまでの配当は計二千万円だが、九月以降は振り込みがなくなった。「何度かおかしいとは思ったが、新聞や経済誌にも広告を出し、九年も続いている会社。大丈夫だと思っていたのに…」と悔やむ。男性は十月下旬、同社を相手取り、資金の返還を求めて提訴した。

 九月に投資した男性は、加盟金や設備費の初期投資のほかに、サーバー管理費などのランニングコストとして毎月約三十万円の負担と、一カ月の通話料が三十万円未満の場合の赤字の穴埋めも義務付けられる契約内容だった。「最高で月八十万円の配当もある」と説明され、約七百四十万円を出資したが、配当は十月の一万円だけ。男性は「老後の金だった。詐欺に遭った気分だ」と憤る。

 これまで同社は配当が途絶えた理由を「海外の取引先が倒産したため」などと説明。支払いのめどの説明はなく、事務所が閉鎖された二十日以後、本社を訪れて財務状況などをただしても、応対した社員は「何も分からない」と繰り返すばかりだった。

 国民生活センターや各地の弁護士会に相談が寄せられ、投資家個人が返還を求め提訴したりする動きがある。

■弁護団結成へ 来月説明会

 IP電話事業の「近未来通信」が、投資家から多額の資金を集めながら事実上の閉鎖状態に陥っている問題で、第二東京弁護士会は二十八日、被害者弁護団を結成することを決めた。

 同弁護士会によると、弁護団長には紀藤正樹弁護士が就任、約十人が参加の予定。東京の三弁護士会を中心にさらに参加を呼び掛け、二十九日の弁護団としての初会合で同社の財産保全策や集団訴訟などに向けた当面の活動方針を決める。来月二日には東京・霞が関の弁護士会館で被害者説明会も開く。

 東京の三弁護士会が二十一日に実施した電話相談では、全国から百七十七件の被害や苦情が寄せられていた。

<メモ>近未来通信 1997年に設立し、仙台、名古屋、大阪、福岡各市や韓国、米国に支店がある。国内外のIP電話中継局の設置費用を投資家が負担し、通話料の一部を配当として還元する「中継局オーナーシステム」を展開。オーナーになるには、加盟金210万円と1口900万円の設備費計1110万円が最低でも必要。これまで少なくとも約900人が200億円を出資。多くは年齢が50代後半以上という。民間信用調査会社や同社ホームページによると、資本金6500万円、従業員約160人。98年7月期に7億円だった売上高は、今年7月期には245億円と8年で35倍に伸びている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061128/eve_____sya_____004.shtml