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2006年11月27日(月) 20時49分

<大学前納金訴訟>10校に授業料の返還命令 最高裁毎日新聞

 私立大に合格後、入学辞退した元受験生34人が、20校に入学金や授業料など前納金の返還を求めた16件の訴訟で、最高裁第2小法廷は27日、このうち19人に授業料を返還するよう10大学に命じた。各地で約150校以上が提訴された一連の訴訟で初の最高裁判決。第2小法廷は、消費者保護を図った消費者契約法施行(01年4月)以降の入試で3月末までに入学を辞退した場合、大学側は原則として授業料の返還義務を負うとの基準を示した。同種訴訟に影響を与えそうだ。
 被告の日本大、同志社女子大などは、入試要項の「前納金はいかなる理由があっても返還しない」などの条項(不返還特約)を理由に返還を拒否し、元受験生らが約70万〜930万円の返還を求めた。
 第2小法廷は、授業料の不返還特約を「契約解除に伴う違約金を定めた条項」と位置づけ、消費者契約法で「通常予想される損害を超える部分の違約金徴収は無効」とした規定に基づき、有効性を検討。「大学側は3月末までの入学辞退は織り込み済みだが、4月1日以降の辞退は想定しておらず、補欠合格などで補充することも困難」と指摘し、4月1日以降は大学に授業料などに相当分の損害が生じると判断した。辞退の意思表示は口頭でも有効と認めた。
 一方、同法施行以前については授業料の返還を認めず、入学金も「入学できる地位の対価で返還義務はない」と判断した。
 これらの基準に従った結果、2審の敗訴が破棄され830万円の返還が認められた原告もいたが、逆に614万円の返還が取り消された元受験生もいた。【木戸哲】
 【返還命令を受けた大学】日本大▽北里大▽東邦大▽東洋大▽同志社女子大▽大阪工大▽武蔵工大▽関東学院大
 【返還を命じられなかった大学】阪南大▽大阪医科大▽神戸松蔭女子学院大▽大阪経済大▽関西福祉科学大▽京都産業大▽中央大▽芝浦工大▽同志社大▽東京理科大
 【両方の判決を受けた大学】大阪樟蔭女子大▽摂南大
 ◇判決を評価 弁護団
 大学前納金を巡る27日の最高裁判決を受け、元受験生の弁護団が同日午後、東京都内で会見し、「大学の常識が受験生の非常識であることがはっきりした」などと判決を評価した。
 弁護団によると、一連の訴訟では各地で300人を超える元受験生が大学側に前納金の返還を求めた。「長年続いてきたあしき慣例がなくなることになり、画期的な意義がある」。大阪弁護団の田中俊弁護士は判決を歓迎する。「入学金の返還が認められなかったのは残念だが、最高裁が基準を示した意義は大きい」との声も上がった。
 文部科学省の05年調査では、約87%の大学が国立大後期入試の合格発表後まで前納金の延納を認めたり、返還に応じている。一方で、後期合格発表前に納付期限を定めたり、延納や返還を認めない大学も約13%に上っている。
 判決後、弁護団はこうした大学に対して指導を行うよう文科省に要請した。入試要項などに「3月中に辞退すれば授業料は返還される」と分かりやすく記載することも申し入れた。
 弁護団は12月2日に東京(03・3517・5510)と大阪(06・6364・8411)で電話相談を実施。提訴せずに泣き寝入りをしている元受験生に対して授業料を返還するよう大学側に求めていく。【木戸哲】
(毎日新聞) - 11月27日20時49分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061127-00000080-mai-soci