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2006年11月27日(月) 20時40分

大学に授業料返還義務 最高裁が初の統一見解朝日新聞

 入学を辞退した私立大学に対し、いったん納めた授業料などの返還請求が認められるかどうかが争われた訴訟の上告審判決が27日、あった。最高裁第二小法廷は、消費者契約法施行後の02年度入試以降に受験し、その年の3月31日までに辞退した人たちについては、授業料などを返還するよう大学側に命じた。一方、入学金については「入学しうる地位の対価」で、大学側は返還義務を負わないとした。返還が認められる基準について、最高裁が初判断を示した。

  

 原告弁護団によると、「学納金訴訟」は、約150大学を相手に元受験生300人以上が提訴。下級審で判断が割れていた。この日は、計34人が計20大学を相手取った16訴訟の判決で、返還命令の最高額は東邦大に対する830万円。同大医学部を受験した女性は一、二審で敗訴していた。一方、大阪医大に教育充実費と第一期分授業料の計614万円の返還を求め、一、二審で勝訴した男性について、同小法廷は、01年度入試だったことから逆転敗訴させた。

 争点は(1)入試要項などに「いったん納めた授業料などは一切返還しない」と記された「不返還特約」が有効か無効か(2)辞退手続きが新年度の4月1日以降でも認められるかどうか——だった。

 第二小法廷は、特約の有効性について、消費者契約法の施行前と後で分けて判断。「特約は、大学が過度な利益を得るようなものでない限り、公序良俗には反しない」との一般判断を示したうえで、同法施行前の01年度入試以前の受験生の請求はすべて棄却した。

 続いて、同法の適用を受ける02年度入試以降について判断。4月1日から新年度が始まり、その日までなら補欠合格などで定員確保が可能な入試実態を踏まえ、「3月31日までに辞退の意思表示があれば、大学に損害は生じず、不返還特約は無効だ」と判断した。

 この際、下級審では書面以外の辞退では返還を認めない判決もあったが、第二小法廷は「口頭による辞退でも、原則として有効」と述べた。02年3月29日ごろ電話で辞退を告げ、4月3日に「入学辞退届出」が日大に着いたケースで、元受験生を逆転勝訴させた。

 1校だけに絞った「専願」の推薦入試や、書類審査・面接などをもとに受験生の資質を総合的に判断するアドミッションオフィス(AO)入試の場合は、一般入試開始前など、代わりの入学者を容易に確保できる時期より前に辞退したなどの特別の事情がない限り返還する必要はないとした。

 また、入学金の返還は一切認めなかったが、「不相当に高額」な場合には返還が認められる可能性があるとした。

http://www.asahi.com/national/update/1127/TKY200611270268.html