悪のニュース記事

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2006年11月25日(土) 18時11分

【4】自己責任朝日新聞

 さいたま市岩槻区の宮部かおりさん(24)は、養護学校卒業後、18歳の時から、同区にある知的障害者の更生施設に通っている。

 週5回、自宅近くでバスに乗り、同じ障害のある約40人が待つ、施設に向かう。一緒に手すきはがきや消しゴムをつくるメンバーに会うのを楽しみにしている。母親の幸子さん(50)は「一人の人間として、社会の中で生きることが心豊かな生活につながっている」と話した。

 これまでかおりさんは給食費を含む施設の利用料は免除されていた。ところが、今年4月から月2万6千円を払わなければならなくなった。障害者自立支援法の施行で、世帯の所得に応じて利用料が課せられることになったためだ。

 自営業の父親の収入が基準を超えており、免除の対象外となった。施設でつくった、はがきや消しゴムを、地域のバザーなどで売っているが、年2回、1200円ずつもらえるだけだ。

 県障害者福祉課が、知的障害者施設など県内188カ所を調査したところ、5月までに負担増を理由に30人が退所した。幸子さんは「改革が進めば進むほど弱い人は切り捨てられる感じです」と憤った。

    ■

 「宿泊所に入らないと受け付けられません」

 ホームレスだった30代の女性が越谷市役所を訪れたのは10月下旬。生活保護の申請のためだった。だが、担当者は、生活困窮者のための安い宿泊所への入所を、申請用紙を渡す条件にしたという。

 女性は以前働いていたが、仕事を失い収入がなくなった。アパートの家賃を払えず、ホームレスに。新しい仕事を探すため、市内でアパートを見つけ、入居しようと思った。市役所に数回通ったが、結果は同じ。女性は市民団体から弁護士を紹介され、一緒に行った。それでも断られたが、事前に自分で作った申請書を渡した。

 2日後、女性の携帯に連絡が入った。「もう一度来てください」。市役所に行くと、申請用紙を渡されたという。

 小泉政権になり、「自己責任」「自助努力」という言葉が、頻繁に使われるようになった。

 生活保護の申請は、新しい仕事を見つけるために、「まず、市役所に相談してみよう」と考えてのことだった。その矢先に、出ばなをくじかれた。

 市は申請を断った理由を、女性にも、弁護士にも明らかにしなかった。女性は、ようやくアパートから仕事探しを始めた。

    ■

 従業員が株式や証券など年金の運用方法を選び、その実績で受け取る年金額が変わる確定拠出年金(日本版401k)を導入する動きが、県内企業にも広がっている。

 りそな信託銀行(東京)は04年4月以降、県内の約20社に401k商品を提供する。企業が月々社員に払う掛け金を経費として計上できるなどのメリットが高く、関連セミナーには延べ約350社が参加する盛況ぶりだという。

 2年前に導入したさいたま市のある企業は、すべて投資信託で運用した社員は運用の利益が元本の約20%になっているのに対し、定期預金だけの社員は約0・2%と差が付いているという。ただ、運用がうまくいけば受取額は増えるが、リスクも自分で負わなければならない。

 経済や人口構造の変化でこれまでの年金制度は立ちゆかなくなっている。りそな信託の担当者は「自己責任で運用しないと、年金も、将来の暮らしもよくなりませんよ、という時代になったということです」

http://mytown.asahi.com/saitama/news.php?k_id=11000150611250001