2006年11月24日(金) 00時00分

大人の喫茶惜しまれ幕　天満橋 キャッスル（朝日新聞）

　大阪・天満橋の大阪キャッスルホテル１階の「カフェテラス　キャッスル」が、２８年間の営業に幕を閉じた。厳選されたコーヒーと、重厚で落ち着きのある内装、そして洗練されたウエートレスの接客で、「大人の喫茶店」として親しまれてきた。社長の中根憲三さん（５９）は「残念だけど、これも時代の流れ。多くのお客様に愛されたことを誇りに思います」と話した。

　もともとは同ホテル直営の喫茶店だったが、経営不振で８０年に中根さんが経営を引き継いだ。中根さんは、家具関連の仕事をしていた経験をいかし、内装に最高級の家具を使用。コーヒーも、当時の大阪では少なかった高級豆を使った。「自分が居心地のいい喫茶店を作りたかっただけ」と中根さんは話すが、「美味（おい）しくなければお代金はいただきません」と入り口に掲げるほどのコーヒーにかける情熱とプライドが人気を呼び、「大人の隠れ家」として、北浜や周囲のオフィス街で働くビジネスマンに愛された。

　しかし、０４年に京阪天満橋駅前にあった百貨店が閉店するなど街も変化。徐々に客足も遠のき、店を閉める決意をした。

　最終日となった今月１４日、店内は、閉店を惜しむ常連客らからの花や寄せ書きであふれた。中根さんは「人生の大半を過ごした場所だし、さびしい思いもある。だけど、宝箱のふたを閉めるような感じです。いい思い出がいっぱい詰まってますし、またいつか、そのふたを開けたいですね」と笑顔で最後の営業を終えた。

http://mytown.asahi.com/osaka/news.php?k_id=28000000611240006