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2006年11月22日(水) 14時39分

年収「空白」で高額クレジット、高齢者被害の温床に読売新聞

 不要な商品を次々と押しつけられた高齢者らが、過剰なクレジット契約を結ばされる被害が相次いでいる問題で、契約書の年収欄が記載されないまま契約が交わされるケースが常態化していることがわかった。

 割賦販売法は、支払い能力を超える契約を結ばないよう求めているが、具体的な基準はなく、経済産業省で法改正を検討している。支払い能力の目安となる年収すら確認せずに高額商品の契約が結ばれていたことになり、契約者が多重債務に陥らないための“歯止め”を求める声が強まりそうだ。

 こうした実態は、支払いに行き詰まり、弁護士らのもとに寄せられた相談の中で次々と判明。年金生活者で収入の少ない高齢者の女性が目立つ。

 埼玉県内に住む女性(69)は、裁縫の内職をもらう呉服店から、大島つむぎなど着物の購入を頻繁に勧められ、大手信販4社とのクレジット契約で昨年7月までの2年間に、訪問着や喪服など12点計約1200万円を購入。「断ると仕事がもらえなくなると思った」と話しているという。

 いずれの契約書も、収入欄は空欄。この女性の年収は100万円程度。月々の支払いが15万円近くに上るようになり、家賃を滞納し、返済も滞った。

 宮城県内の60歳代半ばの女性は、リフォーム会社(すでに倒産)との間で2か月間で3件のリフォーム契約(計約900万円)を結んだが、収入欄はいずれも未記載で、うち1枚は勤務先の欄が「厚生年金」。女性は年金の半額以上を毎月の支払いにあて、最長15年のクレジット契約を結んでいた。女性は軽い認知症で、訪問介護を受けている。

 これらの契約は、主に大手信販6社との間で結ばれていた。6社のうち4社は「年収は審査に不可欠。契約書になければ、電話で確認するなどしている」と回答。残る2社は「年収の記載がなくても、過去のクレジットの利用歴などをもとに審査を通すことはある」としたが、「すべての情報を把握できているとは限らず、審査が100%(確実)ともいえない」としている。

 今国会で審議されている改正貸金業法案では、貸金業者に借り手の返済能力調査を義務づけ、年収の3分の1を超す貸し付けを原則禁止する規定が盛り込まれた。

 クレジット契約に詳しい松尾善紀弁護士は「過剰与信のトラブルになる契約では、信販会社の審査に不可欠な収入や勤務先の記載がないずさんな契約書が多い。年金も、受取額がわからなければ支払い能力は見極められない。収入の低い高齢者が高額なクレジット契約を結ぶ場合は、特に慎重な審査が求められるはず」と批判している。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20061122i105.htm