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2006年11月22日(水) 08時00分

近未来通信 相談400件「配当ない」 警視庁も情報収集産経新聞

 多額の資金を集めながら、本社事務所や支店を一斉閉鎖したIP電話会社「近未来通信」(東京、石井優社長)の投資話について、国民生活センターに同社設立の平成9年以降、計223件の苦情・相談が寄せられ、東京の3弁護士会が21日に実施した電話相談にも177件の相談があった。関係者によると、少なくとも約3000人から総額約400億円を集めたとされるが、配当金の支払いが滞っている。一部の投資家は詐欺罪での告訴も視野に警視庁に相談しており、同庁も情報収集を進める。

 問題となっているのは、「電話中継局オーナーシステム」と呼ばれる投資スキーム。インターネット技術を利用するIP電話の中継局の設置費用を負担すれば、電話の利用者が支払う通話料から配当金が入るという仕組みだ。

 「オーナーになれば、労働しなくても副収入が得られる」がうたい文句。ひとつの中継局で8回線をまかない、設置費用は約900万円。加盟金を合わせると最低でも約1100万円を投資するという。

 国民生活センターによると、会社設立当初から「信用してもいいのか」などの相談が寄せられ、20日に事務所が閉鎖されてからは「連絡がつかない。どうしたらいいか」といった電話が相次いでいるという。

 センターでは「夜逃げ状態にある」と分析。相談者には「1円も返ってこないという心づもりをしておくよう伝えている」という。弁護士会への相談では5000万円超の投資が7件あった。

 東京都中央区の同社の本社があるビルには21日も多数の投資家が説明を求めて集まった。

 埼玉県の50代の無職男性は3年前、同社の説明会で「投資分は2年半で取り戻せる」と説明されて3局の中継局オーナーになり、約4000万円が未回収に。「対応してくれた社員は『事業はきちんと稼働している。幹部と連絡が取れず、会社としては対応できない』と言われた。とても納得できない」

 千葉市の男性(58)も「IP通信はこれからの事業。利回りは約50%」という説明を信じ、老後のために取っておいた1200万円を投資した。「回収できたのは190万円だけ。9月以降は一切、配当金の入金がない」と混乱した様子で話した。

 関係者によると、少なくとも約3000人から総額約400億円を集めたとされるが、IP電話事業の実態はほとんどなく、出資金を他の投資家の配当に回す自転車操業の疑いがあるという。

 監督官庁の総務省は、サービス実態が不透明として10月、電気通信事業法に基づき報告命令を出したが、同社から回答期限の今月9日までに報告がなく、17日まで延長。同社は24日までの再延長を求めていた。同省には「21日には通常通り営業する」とのメールを送ってきたという。

 調査機関などによると同社は資本金6000万円。国内外でIP電話サービスを展開し、米国や韓国、中国などにも中継局を持ち、現地法人も設立しているという。今年8月に約1億7500万円の所得隠しが発覚した。18年7月期の売上高は245億円。

                     ◇

 ■提訴9件、請求8000万超 東京地裁

 「近未来通信」に対し、法人や個人から損害賠償や未払いの広告代を求める訴えが東京地裁に9件起こされていることが21日、分かった。原告は同社を「実体がないにもかかわらず多額の配当があるように装った詐欺的商法」などと指摘。請求金額は少なくとも計8000万円以上に上るという。

 約3600万円の損害賠償を求めている都内の不動産業の代表の訴状によると、近未来通信について「IP電話中継局オーナーシステムは事業としての実体はなく、金を集めるための口実にすぎない」と指摘。「中継局のオーナーに支払われているのは利益の配当ではなく、新たなオーナーからの加盟金などで賄っている」と、同社の商法が詐欺もしくは出資法違反に当たり、契約は無効と主張している。

 このほか、収益の確実性を強調するなど欺瞞(ぎまん)的なため契約は無効として、群馬県の無職男性(61)も同社に約2700万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁に起こしている。近未来通信の代理人の弁護士は「訴状を見ていないのでコメントできない」としている。
(産経新聞) - 11月22日8時0分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061122-00000010-san-soci