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2006年11月17日(金) 00時00分

悪質商法から高齢者守れ  先行の新宿区で成果 東京新聞

 悪質商法による高齢者の被害が深刻化する中、東京都は、高齢者世帯に訪問する機会の多い介護事業者や民生委員らと連携し、被害に関連した異変を早期に察知、被害防止につなげる指針づくりに乗り出した。高齢者本人が悪質商法に気付かなかったり、相談をためらうなどして被害が表面化しにくい特徴があるためで、都は高齢者と接する第三者の見守りで被害を掘り起こす仕組みが必要と判断した。

 都消費生活部は、福祉や治安に関する都の関係部署や区市町村、介護事業者、有識者らに呼び掛けて検討委員会を設置。先駆的に導入した新宿区の事例などを基に課題を整理し、来年二月をめどに、それぞれの役割分担について指針を示す。

 都消費生活総合センターに寄せられた今年四−九月の六十歳以上の悪質商法などに関する相談は三千百八十一件で、前年同期比で三割増えた。判断力の衰えにつけ込んで次々に契約させるなど、「高齢者の財産を根こそぎ持っていく悪質、巧妙な手口が増えている」(同部)という。

 都は本年度、本人や家族からの相談窓口「高齢者被害一一〇番」を新設。ホームヘルパーや民生委員らの通報先として「高齢消費者見守りホットライン」も設けた。

 こうした第三者からの相談が年々増え、被害防止につながる成果も出ていることから、都が中心になって一定のルールを提示し、区市町村の事情に合わせて活用してもらうことにした。

 さらに、都は悪質業者の取り締まり強化に向けて、消費生活条例の改正にも着手。特定商取引法のすき間を突く業者に対し、都が独自に業務停止などを命じられる処分規定の新設を目指す。

 「新品の布団や浄水器があった」「クレジット契約の明細書が届いている」−。高齢者らの消費者被害防止に向けて、東京都が指針づくりを進める介護事業者、民生委員らと消費者行政の連携は、高齢者の身の回りに起こる変化から悪質商法被害の“芽”をつかむのが狙いだ。昨年十月から先行実施した新宿区では一年間に計三十五件の通報があり、被害を食い止める一定の成果が出ている。

 同区は、高齢者と日常的に接するケアマネジャーやホームヘルパー、民生委員、ボランティアらに協力を求め、「悪質商法被害防止ネットワーク」を構築。研修会を開いて被害を察知する“ツボ”を説明したほか、新宿消費生活センターあての「通報用シート」を作り、被害相談に必要な情報を漏らさない工夫もした。

 七十代の一人暮らし女性が被害に遭ったケースは、ヘルパーが浄水器を発見し本人の同意を得て同センターに通報。

 業者が塩素に反応する薬剤を使って「がんになる成分」とうその説明をしていたことが分かり、約四十七万円のクレジット契約の解除に結びついた。

 認知症の六十代女性がボランティアに打ち明け、「次々販売」の被害が発覚したケースも。同じ業者が浄水器とマッサージ器、風呂用浄水器を相次ぎ売りつけ、計百五十六万円のクレジット契約を結ばせていたが、既払い分も含めて返金させた。

 区は先月下旬から、通報先を明示したステッカーの配布を始めた。担当者は「相談員が自宅に訪問する仕組みも検討して、さらに被害の早期発見や掘り起こしに努めたい」としている。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20061117/eve_____sya_____003.shtml