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2006年11月12日(日) 01時44分

11月12日付・読売社説(2)読売新聞

 [犯罪収益防止法]「日弁連の主張は支持されるか」

 資金洗浄とテロ資金の動きを封じるための犯罪収益流通防止法案の行方が、依然として不透明なままだ。

 警察庁が先月、日本弁護士連合会に譲歩した法案の骨格をまとめたが、日弁連は理事会で改めて反対の立場を確認した。

 このような対応が国民の理解を得られるだろうか。日弁連には、警察庁案が本当に受け入れ難いものなのか、さらに内部で議論してもらいたい。

 法案は、国際的な政府間組織「資金洗浄に関する金融活動作業部会」(FATF)の勧告に基づく国内法の整備だ。金融機関に加え、新たに弁護士や公認会計士、司法書士、不動産業者らにも疑わしい取引の届け出を義務づける。警察庁は来年の通常国会に提出する方針だ。

 しかし、日弁連は「弁護士から警察への依頼者密告制度だ。一般市民の弁護士への信頼を傷つける」として反対してきた。このため、警察庁は、6月にまとめた法案概要のうち、弁護士の取り扱いを見直し、今回の案を示した。

 弁護士法で規定される守秘義務の範囲は変わらない。刑事弁護や法律相談で得た情報は届け出義務から除外される。

 弁護士以外の公認会計士などの情報は所管官庁経由でそのまま警察庁に上がるが、弁護士は日弁連に届け出る。日弁連が守秘義務に抵触しないかどうかなどを判断した上で警察庁に通知する。

 弁護士以外の場合、立ち入り検査、義務違反に対する是正命令など、所管官庁や国家公安委員会の監督を受けるが、弁護士は国の監督を受けない。届け出ルールを含め日弁連の会則に委任する。

 警察庁は「弁護士自治と守秘義務の原則を尊重し、国際要請も満たす内容とした」と説明する。確かにこれ以上の妥協案となれば、弁護士を枠組みから外すしかないだろう。日弁連の内部にも「弁護士の立場に配慮した警察庁案は評価できる」とする意見も少なくない。

 日弁連は、3年前にFATF勧告が出た際、「国際社会からの強い圧力」による動きであり、「反対のための活動だけでは対応しきれない」とする見解を出したこともある。

 国内では暴力団の勢力が衰えを見せない。海外の犯罪組織の動きも警戒しなければならない。テロや覚せい剤の密売など、北朝鮮の脅威もある。すでに主要国の多くが法整備を終えている。国際犯罪やテロ対策では各国の連携が重要だ。

 弁護士が指導的役割を発揮して不正資金に目を光らせれば、組織犯罪やテロの抑止効果は計り知れない。こうした点も日弁連には考えてもらいたい。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20061111ig91.htm