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2006年11月09日(木) 00時00分

コンセントに挿すだけで家庭内LAN——電力線通信は手軽にできるネットワーク読売新聞


PLCモデムに必要なケーブルは、コンセントから電力と通信のやり取りをする電源ケーブルと、パソコンに接続するLANケーブルの2本のみ

 国内最大のデジタル家電・情報通信機器展示会「CEATEC JAPAN2006」が10月3〜7日、千葉・幕張メッセで27か国・地域から807社が出展して開かれた。今回のテーマは、「デジタルコンバージェンスが変える、社会・生活・ビジネス」。新製品、最新技術があふれる会場で、家電ネットワークの最新の動きを追った。

工事なしで家庭内接続

 コンセントに電源プラグを挿すだけでネットワーク接続ができる電力線通信(PLC=Power LineCommunication)は、家庭内ネットワークで注目の的だ。会場では、「高速電力線通信推進協議会」(PLC—J)が専用ブースを設け、松下電器産業やNEC、住友電気工業などがPLCモデムの動作デモを行っていた。

「PLC」とは、情報データを高周波の信号に変換し、それを電力線に乗せて通信する技術。既に住宅に張り巡らせてある電気配線を利用するため、新たに工事をする必要がなく、コンセントのある部屋ならば、どことでもネットワークを構築できるのが最大のメリットだ。

 松下電器産業が展示していたPLCモデム「HD—PLCアダプター」の通信速度は、最大190Mビット/秒と非常に高速だ。インターネットにつなぐには、ADSLや光ファイバーからのLANケーブルを、1台目のPLCモデムに接続。屋内の電気配線を通して2台目のPLCモデムとネットワークが構築されるので、そのPLCモデムとパソコンをつなげるだけだ。

総務省がゴーサイン

 ちょうど総務省は、会期中の4日、PLC用に2〜30MHzの周波数帯を屋内に限り認めるように省令を改正した。01年に総務省で検討が始まり5年以上かかったが、これで一気にPLCの日本での実用化に道が開けた。技術的には、屋外の電力線を利用したPLCによる高速通信も可能だが、この周波数帯は短波ラジオやアマチュア無線にも当てられており、PLCが発生するノイズがこれらの機器にも影響するため、現時点では屋内のみの利用にとどまった。

 メーカー各社は、PLCモデムを年内にも発売したい構え。価格は2台セットで2万円程度(松下電器産業)になる見込みだ。

 会場では、PLC内蔵カメラも展示され、コンセントに挿すだけで、カメラで撮った映像が離れた位置にあるモニターで表示された。

 コードをはわせる必要もなければ、無線LANの設定に悩むこともない。室内のコンセントだけで、家庭内の各部屋にある機器間でデータのやり取りや、遠隔操作などが実現する。このほか、レコーダー、ゲーム機など、さまざまな家電がつながる仕組みも展示されていた。

 高速な通信速度も強みだ。現在の無線LANでHD(ハイビジョン)映像を配信しようとすると、転送速度が足りずにコマ落ちしてしまう。PLCは、HD映像の質を落とさずに配信できるメリットもある。

 ただし、電子レンジなど家電製品から発生する高周波の影響を受けて通信速度が遅くなったり、各メーカーのPLCモデム間には互換性がなかったり、今後へ向けた課題も残る。

 松下電器産業のPLC担当者は、「新しい技術なので課題もあるが、なるべく早い段階でPLCを普及させたい」と意気込みを語った。(山野 徹・編集部/2006年10月24日発売「YOMIURI PC」12月号から)

http://www.yomiuri.co.jp/net/frompc/20061108nt02.htm