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2006年11月09日(木) 12時01分

忘れないで私の一票:/上 過疎地 積雪に左右される命 /福島毎日新聞

 12日の投開票日に向け、各陣営とも追い込みに懸命の出直し知事選。終盤になればなるほど、浮動票獲得を目指し、選挙運動は都市部中心になりがちだ。1票でも多く獲得するためには、大勢の有権者が共感する政策、公約を訴えるのはやむを得ないとしても、少数派の小さな声にも耳を傾けてほしい。過疎地で、ハローワークで、福祉施設で有権者の声を聞いた。【知事選取材班】
 ◇若者の流出防ぐ政策を
 昨冬、会津地方は記録的な大雪に見舞われた。県のまとめによると、死者3人、重軽傷者は65人に上り、住宅の損壊に加え、水道管などインフラにも被害が及んだ。
 只見町の無職女性(72)は「この地区は背丈の何倍も雪が積もる」と間もなく訪れる積雪の季節にため息を漏らす。昨年1月、同町では降雪量累計が例年の約2倍に達した。同町の除雪費用は例年比で約4000万円増の約1億7000万円にのぼった。
 女性の夫は病気で寝たきり。「毎日お医者さんが回診に来てくれるが、積雪がひどいと診察に来ることができない。夫の命は雪に左右されている」と訴えは悲痛だ。積雪対策に対する県の助成充実が切実な願いだ。
 若い働き手の確保にも地域住民は頭を悩ませる。昭和村の農業、栗城サチ子さん(70)は「見ての通り、周りは年寄りばかり。過疎化の深刻さは肌身で感じている」と話す。同村では700戸中400戸が特産のカスミソウ栽培など農業で生計を立てている。
 村によると、65歳以上の人口は52%で、若年層の都市部流出は止まらないという。60年に4800人だった人口は現在1710人にまで激減した。「機械を動かせる人がいない。農家にとって若者がいないということは働き手がいないということ」と農作業にも影響するという。
 村には現在110戸ほどの空き家がある。この一部を活用した2地域居住を推進するため、東京で年に1回開催されるイベントで村の情報を提供している。今年は定年退職を間近に控えた12人から問い合わせがあったが、まだ実現していない。栗城さんは「政治家は都会ばかり見て、自分たちは見捨てられたという感じがする」と憤りを隠さない。
 金山町で唯一衣料店を営む五ノ井哲雄さん(59)は、15年ほど前のピーク時に比べ売り上げが半分程度に落ち込んだと嘆く。「このままの状態では経営は厳しい。新知事には若い人が地元に残るアイデアを期待したい」

11月9日朝刊
(毎日新聞) - 11月9日12時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061109-00000071-mailo-l07