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2006年11月04日(土) 23時21分

調書の講義使用は「不可」 検察庁と法科大学院が対立朝日新聞

 弁護士の教員のもとで進行中の事件から学ぶ法科大学院の臨床法学教育(リーガルクリニック)で、公判に出る供述調書などの証拠を学生が事前に読むことを検察庁が認めない取り扱いが相次いでいる。大学院側は「刑事弁護の実務は学ぶなと言っているようなもの」と批判、宙に浮いた状態が続いている。

 大宮法科大学院教授の萩原猛弁護士は6月、殺人事件の公判前整理手続きの際、さいたま地検検事から「学生に見せないと確約しない限り、記録のコピーは認めない」と言われた。その後も二つの事件で地検側は同じ主張をし、結果として学生に検察側の証拠をもとに弁護方針を考えさせる本来の目的が果たせない状態になった。

 早稲田大法科大学院教授の高野隆弁護士も3月、東京地検側から同様のことを言われた。高野教授は「そんな約束はできない」として、コピーせず、必要な部分を書き取ってきたという。

 2地検の言い分は、法科大学院生に捜査記録などを見せるのは証拠の目的外使用にあたるというもの。司法試験に合格した司法修習生にはアクセス可能とはいえ、それは司法修習生には守秘義務が規定され、違反すれば罷免もありうるから。それがない法科大学院生は同列に扱えないという。

 一橋大法科大学院の村岡啓一教授は「権限が定められていない点では、司法修習生も法科大学院生も同じ」と指摘。「大事なのは訴訟関係者の秘密が保護されるかどうか。法科大学院は万全を期しており、教育的な意義を考えるべきだ」としている。

 クリニック開始後しばらくは閲覧、コピーに制限することなく検察側の証拠は開示されていた。しかし法務省関連の雑誌の6月号に「検察官から開示された証拠を法科大学院生に見せるのは違法」との解釈を示した東京高検検事の文章が掲載され、前後して運用が厳格になったようだ。

 ロースクールでは実務教育に重点が置かれ、リーガルクリニックの活用は文部科学省が後押しする専門職大学院の研究プロジェクトにも含まれている。

http://www.asahi.com/national/update/1104/TKY200611040289.html