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2006年11月02日(木) 00時00分

三菱自欠陥車虚偽報告公判 朝日新聞

  大きな社会問題となった三菱自動車の欠陥をめぐる一連の裁判で、最も早く審理が始まった横浜簡裁での虚偽報告裁判が1日、結審した。弁護側は最終弁論で「ハブの破損は、強度不足ではなく、ユーザーの整備不良や過酷使用によるものと認識していた」と改めて無罪を主張した。検察側は道路運送車両法違反(虚偽報告)の罪で被告3人と、法人としての三菱自にそれぞれ罰金20万円を求刑しており、12月13日に判決を迎える。

(石原孝、岩波精)

  「虚偽報告はしていない。最高の技術、経験をもとに努力した。何らやましいところはない」

  公判の最後に意見を求められた三菱ふそう元会長の宇佐美隆被告(66)は、こう主張した。三菱自元常務の花輪亮男(65)、元執行役員の越川忠(63)の両被告も「虚偽報告はしていない」などと訴えた。

  虚偽報告事件は、02年1月10日に横浜市瀬谷区で起きた母子死傷事故に端を発する。午後3時50分ごろ、下瀬谷3丁目の県道を走行していた三菱自製大型トレーラーのタイヤが外れ、歩道にいた母子にぶつかり、当時29歳の主婦が死亡した。その後、車輪と車軸をつなぐハブが破損したのが事故原因と分かった。

  起訴状などによると、国交省から事故の調査報告を求められた三菱自は02年2月1日、「ハブ破損の原因は強度不足ではなく、整備不良によるもの。整備不良がなければ、(摩耗量が)0・8ミリ以上の交換基準で耐久寿命が確保できる」と国交省に報告。その前に、宇佐美被告らが出席した臨時の対策会議で、ハブの無償交換基準を0・8ミリ以上摩耗した場合と決めたという。

  しかし、0・8ミリ未満の摩耗でも、ハブが破損した事例は瀬谷区の事故前だけで7件あった。

  検察側は求刑の際、「被告らはハブの破損事例がほかにあったのを知りながら、莫大な金がかかるリコールを回避するために国交省にうその報告をした」と主張した。

  弁護側は最終弁論で、被告らが国交省への報告前に、0・8ミリ未満の摩耗でもハブの破損事例があったことを知っていたことは認めた。ただ、「被告がハブの専門家から、破損の原因は整備不良と過酷使用にあると説明を受け、信じていた」と、検察側が主張する意図的な隠蔽(いんぺい)を否定した。

  また、弁護側は「国交省職員との口頭でのやりとりの中で、調べてほしいと言われただけ」と、もともと道路運送車両法で定められた国交相による報告要求はなかったとして、虚偽報告自体成立しないと主張した。

  同社のリコール隠しをきっかけに、道路運送車両法は02年7月に改正され、個人、法人とも上限20万円だった罰金は、個人は1年以下の懲役か300万円以下の罰金、法人は2億円以下の罰金になった。

  裁判を受けて瀬谷区の事故で娘を亡くした増田陽子さん(57)は、「被告は、会社のトップとして、罪をはっきりと認めてほしかった」と語った。

  ■三菱自をめぐる裁判■

  虚偽報告事件のほか、2件の刑事裁判が横浜地裁で行われている。一つは02年1月に横浜市瀬谷区で起きた母子死傷事故をめぐって元市場品質部長ら2被告が業務上過失致死傷罪に、もう一つは02年10月に山口県で男性運転手が死亡した事故で元社長ら4被告が業務上過失致死罪に問われている。被告側はいずれも無罪を主張している。

http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000000611020003