悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年11月02日(木) 12時01分

佐藤県政の残像:新知事が背負う課題/3 教育 /福島毎日新聞

 ◇平たんでない改革路線
 「子供に目が届かなくていろいろな問題が起きていますが、福島県は30人学級は全国で唯一(小中学校全学年で)やっております」
 辞職表明から1週間後、佐藤栄佐久前知事は私物整理のため訪れた県庁で、記者団に対し自画自賛した。県教委で今でも「『ほかのまねはしない』と口酸っぱく言ってきた前知事だからこそ実現した」といわれる少人数学級。県は全国に先駆けて02年度に小中学校の1年生に導入、05年度からは全学年で30人程度の少人数学級に踏み切った。
    ◇   ◇
 県教委が「きめこまやかな教育ができ、学力向上でも一定の成果がある」と強調する少人数学級。県教委の追跡調査では、ある中学校で、実力テストの偏差値が05年5月の53・3から今年1月には54・8にアップした。
 また、県内は1000人あたりの暴力行為(05年度、0・3件)といじめ(同、0・1件)が数字上は47都道府県で一番低い。学習生活指導グループの菅家敏之参事は「いじめは目に見えない点があり、あぐらをかいているわけにはいかないが、一人一人把握しやすい少人数学級の好影響はある」と分析する。
 「少なくなったからゆとりが出たと喜んではだめ。きちんと結果を出さないと」。今年度から少人数学級の研究モデル校になった伊達市立保原小の渡辺博志校長は語る。同小では教員同士が、実際に教室で児童に指導するように板書を使って授業を見せ合う研究授業に余念がない。県教委は今年度から小中学校7校ずつをモデル校に指定した。少人数学級導入による予算の増加分は今年度約63億円。少なくない支出だけに、より一層の成果も求められている。
    ◇   ◇
 今後の焦点の一つが普通科高校の学区制度見直しだ。学識経験者らによる県学校教育審議会は8月、08年度をめどに「全県1学区へ移行」との中間報告を出した。見直せば73年以来35年ぶり。1学区制は「学校選択の機会均等」を旗印に12都県が取り組む。
 だが、「学校の序列化が一層進む」と懸念する教育関係者もいる。今の学区内にも進学校などの序列はあったが、県内の有力進学校に生徒が集中すると、優秀な生徒が集まる高校と、それ以外の高校との格差が広がるとみる。
 それに対し、県教委は「ダイナミックな動きはないだろう」(県立学校グループ)と分析、現在も隣接学区には定員の3%(一部8%)の範囲で越境通学ができ、大きくは超えないとみている。「1学区で学校間の競争を促したい議論もある」とも同グループは説明する。だが、審議会のある委員は「特色を持たせないまま始めると、過疎の学校が廃れるおそれがある。1学区をきっかけに教員配置など徹底的な再編成を行わないと。それがあと2年でできるのか」と危惧(きぐ)する。学校同士の競争を促すことで特色ある学校づくりを狙っても、変化が少ないならその狙いが達成できるか疑問符が付く。
    ◇   ◇
 県内でも表面化した履修単位不足問題を「学力向上へのあせり」とある校長はつぶやく。課題山積の教育現場。「ほかのまねはしない」と前知事が敷いたレールを、新知事は走り続けるのだろうか。

11月2日朝刊
(毎日新聞) - 11月2日12時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000106-mailo-l07