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2006年11月01日(水) 16時49分

佐藤県政の残像:新知事が背負う課題/1 入札制度改革 /福島毎日新聞

 ◇外堀埋まり待ったなし
 東京地検特捜部の係官約40人が県庁に入ったのは、9月30日午前11時過ぎ。佐藤栄佐久前知事が辞職した2日後だった。休日のため職員用の出入り口から入った係官は、土木部を中心に約11時間にわたり捜索した。ある県議は「福島城落城の瞬間だった」と自嘲(じちょう)気味に振り返る。
 5期18年の間に盤石の体制を築いてきた佐藤前知事の足元をすくったのは、県発注工事を巡る談合事件だった。流域下水道整備工事を巡る競売入札妨害容疑で、佐藤前知事の実弟や元土木部長ら合わせて6人が逮捕された。県政刷新に向け、待ったなしなのが入札制度改革だ。各候補者もそろって制度改革を訴える。
    ◇   ◇
 県発注工事の入札で問題になっているのは「高値落札」が常態化していることだ。日本弁護士連合会などは落札率95%以上になると談合の疑いが強いと指摘しているが、96年度から今年度までの5億円以上の土木部発注工事134件の平均落札率は97・74%で、半数近い65件が99%を超えている。
 県は24億1000万円以下の工事について原則、指名競争入札で業者を決めている。今年度から業者の地域貢献度なども加味する総合評価方式を導入しているが、実績はほとんどない。
 ゼネコン汚職に揺れた宮城県では、01年に1000万円以上を一般競争入札にするなど制度を抜本的に見直した。宮城県契約課は「現在、落札率は全国的にも低い数字になっている」と効果を認める。
 しかし、川手晃副知事が事件発覚後に「聖域なき改革」を打ち出したにもかわわらず、県土木部の蛭田公雄部長は「現実的に難しい」と及び腰だった。
 そうした流れを変えたのは、捜査の進展や県入札監視委員会が打ち出した制度の抜本的改革を促す報告書という“外圧”だった。
 事件を受け、県議会もほおかむりすることはできなかった。10月11日の土木委員会は、8月23日に入札が行われた県発注工事1件を継続審議とすることを全会一致で決めた。
    ◇   ◇
 制度改革へ向け決定打ともいうべき出来事が、10月23日の佐藤前知事逮捕だった。木戸ダム建設工事をめぐる収賄容疑。9月県議会の土木委員会で「官製談合はなかったと思う」と答弁した蛭田部長だったが、「報道を見る限り、今は何とも言えなくなった。土木部一丸で1日も早い信頼回復に取り組みたい」と軌道修正を余儀なくされている。
 県議会には入札制度に関する特別委員会が設置された。県も部局横断的な改革部会をつくり、外部に検証委員会を組織した。ただ、「落札率が低いということは、下請け業者にしわ寄せがいっている証拠」と疑問を投げかける声もある。
 一口に入札制度改革と言っても、落札率だけではなく、一般競争入札の導入、職員の天下り、県建設技術センターの廃止など、課題は山積している。しかし、目に見える形で、変化がなければ、地に落ちた県政への信頼回復はありえない。各陣営とも、入札制度改革を訴えるが、具体論は見えてこない。
   ×  ×  ×
 佐藤前知事の辞職に伴う出直し知事選の投開票まで2週間を切った。新知事が克服すべき佐藤県政の負の遺産は何か。受け継ぐべき政策はあるか。直面する課題を探った。【知事選取材班】

10月31日朝刊
(毎日新聞) - 11月1日16時49分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061031-00000105-mailo-l07