悪のニュース記事

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2006年10月31日(火) 17時37分

悪質商法読売新聞

「健康」「資産」「孤独」が標的

下谷内冨士子理事長

 年を取って心身が衰え始めると、犯罪や事故、災害の被害に遭いやすくなりますが、こうした危険から身を守るための知恵や工夫を、10回シリーズでお届けします。まずは、増加が著しい高齢者を狙う悪質商法に対する心得から。全国消費生活相談員協会の下谷内(しもやち)冨士子理事長に聞きました。(林真奈美)

3大不安

 自宅にいることが多い高齢者は、訪問販売や電話勧誘による悪質商法の格好の標的です。

 高齢者の3大不安は、「健康」「資産」「孤独」と言われています。悪質業者はその不安につけ込み、言葉巧みに商品やサービスを勧めるのです。扱う商品も、健康食品や電気治療器など健康関連と、未公開株、外国為替証拠金取引などお金の関連が目立ちます。

 寂しさにつけ込み、話し相手になって信用させ、次々に契約させるケースも後を絶ちません。

 日用品の無料配布などと宣伝して大勢の人を集め、楽しく得した気分にさせた後で高額商品を売りつける「催眠商法」も、孤独を嫌う心理を利用しています。「友人同士で誘い合うことも多いようですが、参加は禁物」と下谷内さん。

付け込む手口

 独り暮らしや、日中1人で過ごす高齢者は狙われやすいので、1人だと知られないよう注意しましょう。洗濯物でもわかるので、人目につかない工夫を。家族構成や資産などの個人情報を漏らさないことも重要です。

 高額な契約は1人で決めないで、家族などに相談しましょう。変だと思ったらきっぱり断ること。セールスマンを撃退できない人は、消費生活センターのポスターなどを玄関に掲示しておけば、断りやすいでしょう。

 「しまった」と思ったら、クーリングオフ制度の活用を。特定の契約については、一定期間内なら理由なしで解除できます。「対象外でも、あきらめないで消費生活センターなどに相談して下さい」と、下谷内さんは強調します。

 高齢者は、被害に遭っても気づかないか、気づいても誰にも言わない場合が多いそうです。被害防止には、家族や福祉職の人など身近な人の目配りが欠かせません。

啓発活動も盛んに 寸劇で“魔の手”体感

悪質商法の手口を演じて啓発活動に取り組む劇団「テアトル・コンシューマー」のメンバー

 内閣府と全国消費生活相談員協会は8月から、高齢者を狙った悪質商法の情報を無料メールマガジン「見守り新鮮情報」で伝えています。高齢者を悪質商法から守るための啓発活動も各地で盛んになっており、役立つ情報が得られます。

 東京都世田谷区のボランティア団体「ひとえの会」は、替え歌や寸劇、ゲームなどで悪質商法の手口や対処法を紹介しています。メンバーは、区の養成講座を修了して認定を受けた「区民講師」で、消費者問題の「出前講座」に派遣されます。「本当に伝えたい人に情報が伝わるよう工夫しています」と、メンバーの須黒真寿美さんは話します。

 全国消費生活相談員協会関東支部には、劇団「テアトル・コンシューマー」があり、年間30回以上の講座を開いています。受講者にも消費者役などを演じてもらい、団員がふんする悪質業者の魔の手から逃れる工夫を体感できるようにしているそうです。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kaigo/rounen/20061031ik07.htm