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紅葉忍び寄る山々に囲まれた、東京都青梅市立第一中学校。この日は、とうきょうEDの理事を務める紙澤雅一教諭が、一年生約三十人を対象に特別授業「今こそ考えよう、ケータイとコミュニケーション」を行った。教材は、モバイル研と共同でつくったばかりのA4判、二十八ページの冊子「みんなのケータイ2」。
紙澤教諭は、スクリーンに大映しになった、人込みでごった返すターミナル駅の絵を示して、「おかしいと思うところがありますか」と問いかけた。すると、生徒から「自転車に乗りながら携帯を使っている」「喫茶店で勝手に携帯電話を充電している」などの声が上がった。紙澤さんは「充電のことはよく気がついたね。携帯は便利だけれど使い方次第ですね」と話した。
この後「友だちとメールのやりとりを夜中までやめられない」など六つの事例について、中学生、保護者、携帯事業者の立場から対応を考えた。生徒は「自分からやめて、後で謝る。一日にできるメール数を制限すれば」などと対策を提案した。
同校一年生の携帯所持率は64%。昨年の40%から20ポイント以上も増えた。紙澤さんは「(全国平均と比べても)低くない数字。今、持っていなくても、今後、持つ可能性がある。こちらが教えるのではなく自らの視点で考え、被害者、加害者にも、傍観者にもならないでほしい」と呼びかけた。
携帯を持つ、ある生徒は「危険性まで考えたことがなかった。お金や友人とのトラブルなど、これ以上知ったら怖くなるのかも…」と感想を漏らしていた。
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モバイル研は二〇〇四年の設立以降、子どもをテーマにした研究に力を入れている。冊子づくりもその一つ。昨年七月につくった最初の冊子では、携帯の友人間の貸し借りやネットオークションなど七つのトラブル事例を取り上げ、マンガで分かりやすく解説した。冊子の主な対象は中学生だ。
一万部刷って、学校などで使ってもらったところおおむね好評だったが、モバイル研の遊橋裕泰・主任研究員は中学生と話をしていて、あることに気づいた。冊子で取り上げたオークションは、中学生の小遣いの範囲では参加できず、生徒の関心は低い。彼らは主に「夜中にメールのやりとりをやめることができない」「会話中に届いたメールを見てもよいのか」といったことに悩んでいたのだ。大切な話ほど直接に話をするのではなくて、メールを多用していることも分かった。
冊子は一年で早々と改訂することを決め、こうした中学生の視点を取り入れ、あらためて八つの事例を紹介した。遊橋さんは「子どもの目線で考えた冊子がほとんどなかった」と言う。青梅一中で初めて使われた新冊子も、今後、使いたいという学校などに積極的に提供、現場の反応を聞いていくつもりだ。
遊橋さんは最近、「メールってパソコンでもできるんですね」(大学生)「ケータイって電話もできるところがすごい」(小学生)といった声を聞き、驚いたという。「携帯電話はネットワークコンピューターだと正しく意識させて、渡す時にきちんと教える必要がある」と痛感している。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/dgi/20061030/ftu_____dgi_____000.shtml