悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年10月28日(土) 00時00分

携帯商戦「水ぬれ」に無関心? 結露や汗で減らぬ故障朝日新聞

 覚えがないのに「水ぬれ」——。携帯電話でこんな故障例が絶えない。日常の結露や汗が原因のこともあるが、保証修理の対象外だ。業界に改善の動きは鈍く、番号ポータビリティー(持ち運び)制の開始で盛り上がるこの秋冬の商戦でも、防水性を強化した機種はごく少数だ。こうした現状を反映し、電話帳やメールなどの内部データを復元するベンチャービジネスが注目を集めている。

 8月、大阪府富田林市の団体職員の男性(41)が使っていた携帯電話が突然、故障した。修理窓口に持ち込むと、内側の「水ぬれ判定シール」が反応しているため修理不能、と告げられ、やむなく新機種に買い替えた。電話番号のデータもすべて失った。「買ってから1年たっておらず、水にぬらした覚えもないのに……」と嘆く。

 国民生活センターによると、同種の相談、苦情は96年度の18件から徐々に増え、02年度は106件に達した。03、04年度は60件台に減ったものの、05年度は97件と再び増加傾向を見せている。

 同センターは99年、商品テストを実施。寒い室外から暖房がきいた暖かい部屋に移動を繰り返すと、ボタンが働かなくなったり、水ぬれ判定シールがにじんだりした。汗で湿ったシャツの胸ポケットに入れた状態を想定した実験では、基板が腐食するなどして半数の機種が通話不能になった。

 同センターは「ごく普通に使っていても、水ぬれの故障が起こる可能性がある」として、業界に対して構造の改善や、使用実情を踏まえた柔軟な保証対応を要望した。だが、その後寄せられる苦情の内容はほとんど変わっていないという。

 NTTドコモは01〜02年に防水機能を持つ2機種を販売したが、現在出回っているのは今年6月に発売したソニー・エリクソン製の1機種しかない。KDDIもカシオ製1機種。ソフトバンクモバイル(旧ボーダフォン)はゼロだ。

 電話番号を変えずに別の会社に移れる番号ポータビリティー制が10月24日に始まったのに伴い、3社は過去最多規模の十数機種を年末にかけて投入する。ただ防水機能付きはKDDIが法人向けに1機種出す程度だ。

 防水機能付き携帯のうたい文句は、「水深1メートルに30分放置しても内部に浸水しない」。NTTドコモ関西資材部は「防水機能を施すと、どうしても大きくて重くなる。全機種に付けるのは困難」と説明する。

 市場で「売り」になりにくい側面もある。メーカー関係者は「より薄く、より安い携帯を求める人が圧倒的に多い現状では、防水性能の優先順位は低い」と明かす。

 携帯電話各社は、水ぬれによる故障の件数を公表していない。ただ、携帯販売会社ネプロジャパン(東京都中央区)が今年5月、約3700人を対象に実施したアンケートでは、約7割が「故障経験がある」と回答。原因としては、「水ぬれ」が最多の29%を占めた。

 水ぬれで機種変更する場合、電話帳やメールなどのデータを引き継ぐことはふつうできない。各社は「復元を100%約束できないので断っている」と口をそろえる。

 そこで、各種データの「復活」を請け負う会社が相次ぎ登場している。リクロス(東京都新宿区)は昨春、水ぬれで故障した携帯電話の電話帳を復元し、CD—Rに記録するサービスを始めた。料金は9450円(返送料含む)で、全国から1日5〜7台が届く。特殊な液体で洗浄し、乾燥させて電源を入れ直す手法で、単純に水没しただけの携帯なら、8〜9割が復元できるという。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610280034.html