悪のニュース記事

悪のニュース記事では、消費者問題、宗教問題、ネット事件に関する記事を収集しています。関連するニュースを見つけた方は、登録してください。

また、記事に対するコメントや追加情報を投稿することが出来ます。

記事登録
2006年10月27日(金) 22時31分

テレビ版ナップスター?中国発「TVUPlayer」、番組のネット再配信で人気にCNET Japan

 人気テレビ番組の動画をウェブ上でストリーミング配信する「TVUPlayer」が、世界中で熱心な支持者を集め始めている。開発元である中国企業の TVU networks は、これを「ピア・ツー・ピア(PtoP)」サービスだと説明している。

 しかし同サービスは、著作権侵害に目を光らせているハリウッドのやり手弁護士にとって、格好の標的になる可能性もある。

 実際、一部では、PtoPサービスだった初期のNapsterと同じように、TVUPlayerも訴訟の対象になるのではないかという見方がある。「非常に大規模な著作権侵害」とも評されたNapsterは、訴訟の機会をうかがっている弁護士にとっては、お菓子が詰まったつぼのようにおいしい存在となった。

 TVUPlayerが配信するテレビ番組には、ABC、HBO、Disney Channel、THE COMEDY CHANNEL、Aljazeera、イタリアのスポーツ局Telecaprisportなど、米国内外の有料放送番組も含まれている。

 人気を博した理由は一目でわかる。番組の選択肢が多いことに加え、TVUPlayerの映像は多くの場合、途切れ途切れで画質も粗いことが多い通常のストリーミング動画よりも鮮明だ。なお、TVUPlayerには、ユーザーが独自の動画をアップロードする機能はない。

 しかし、著作権の専門家の意見によると、配信するコンテンツの使用許可をTVU networksの幹部が得ていない限り、同社による番組の中継放送は合法とは認められないという。また、自らのコンテンツをTVUPlayer上で配信されている3団体の関係者は、TVU networksとは一切契約していないと話してる。

 National Basketball Association(NBA)の広報担当者Matt Bourne氏は、TVU networksが協会の許可を得ずにNBAのテレビ番組を配信していると述べた。

 「われわれは、このサイトの存在を認識している。現在、適切な措置をとるために複数の選択肢を検討しているところだ。その中には、他のコンテンツ保有者との話し合いも含まれる」(Bourne氏)

 また、Disneyの広報担当者Karen Hobson氏は、TVU networksにコンテンツをストリーミング配信する権限を与えているかとの質問に、「Disney Channelの番組を入手できるのは、『iTunes』(でのダウンロード)か、当社のサイトだけだ」と答えた。

 HBOの広報担当も、HBOの番組は合法的な形ではウェブには一切提供されていないと述べた。

 上海に拠点を置くTVU Networksの詳細は知られていない。同社は取材の申し込みに応じなかった。同社はウェブ動画事業で収入を得ようとする数多くの新興企業のうちの1つだ。この業界は、動画共有で一大現象を巻き起こしたYouTubeをGoogleが16億5000万ドルで買収すると発表したことから、成長が確実な分野と見られている。しかし、それと同時に、オンライン動画、特に動画共有分野には、常に著作権の問題がつきまとう。最近では、YouTube、Grouper、Bolt.comの3サービスはすべて、著作権違反で訴訟の対象となっている。

 TVUPlayerが米国で注目を集めたきっかけは、ドイツで開かれた2006 FIFA World Cupだったとみられる。米国では、国内のテレビ局で放送されない試合を見るために数多くのサッカーファンが同社のソフトウェアをダウンロードした。

 さらに重要なのが、TVU Networksでは通常のテレビと同じくらい手軽に、オンライン番組が視聴できる点だ。TVUPlayerをダウンロードすると、およそ40から50のチャンネルを擁するメニューが表示される。記事の執筆時点では、Comedy CentralやAnimal Planetのほか、インドのCNBCなどの番組が楽しめた。

 同社のウェブサイト「TVUNetworks.com」には、次のような記述があった。「世界中どこにいても、視聴料を払って有料チャンネルやペイパービュー方式のイベントを観るのと同じように、ライブチャンネルを無料で視聴できる。TVU Networksは、地域のケーブル会社や衛星放送では見られない世界中の番組を提供する」

 TVUPlayerの人気を伝えている複数のブログは、サービスの合法性について疑問を投げかけている。比較的初期には、TVUは各放送局のコマーシャルをそのまま放送しているので、TVU Networksは法律上のグレーゾーンで運営しているとの記述もあった。

 しかし、違法性は一目瞭然だとする弁護士もいる。

 ロサンゼルスのManatt, Phelps & Phillips法律事務所で著作権を扱う弁護士Mark Litvack氏は、「どこがグレーゾーンなのだ? 法廷はすでに、こうした行為は非合法だとの判断を下している」と述べている。

 Litvack氏は、カナダのiCraveTVに対して2000年に米国の地方裁判所が下した判決を引用し、ABCやNBC、CBSなどの放送電波を受信してウェブ上で再配信していた件が、著作権法違反と判断されたことを強調した。iCraveTVは廃業を余儀なくされた。

 Litvack氏によると、iCraveTVの判例は、再配信にコマーシャルも含めているか否かは問題ではないことを示すものだという。サイトの運営形態が合法か否かを決める最も重要な要素は、コンテンツ所有者から配信の許可を得ているかどうかという点だ。

 そうだとしても、TVU Networksの事業の違法性が判明した場合、映画業界は同社を追及する手を中国まで伸ばさなければならず、一苦労することになるかもしれない。過去の例を見る限り、中国の著作権保護に対する姿勢にはぶれがあるからだ。

 興味深いことに、TVU Networksのような法の限界ぎりぎりに挑む企業の登場で、より名の通った動画共有サイトと映画業界との間の緊張が増すのではなく、逆に両者が歩み寄りを見せる可能性もあると、Yankee GroupのアナリストJosh Martin氏は指摘している。

 「このサイトを閉鎖しても、また別のサイトが現れる。この現象はエンターテインメント業界に対し、合法的にコンテンツにアクセスできる機会を消費者に提供する必要があることを示している。ほとんどの人は、ダウンロード1件につき1.99ドルぐらいは支払うだろうし、コマーシャルも見るだろう。消費者が求めているのは、そうしたことができる機会だ」(Martin氏)

 ここ数週間のうちに、動画共有サイトとメディア企業の間で多くの提携が結ばれている。YouTubeは米国時間10月9日、Universal Music Group、ソニーBMGミュージックエンタテインメント、CBSとの提携を発表した。この提携により、これらのレコード会社に所属するアーティストの楽曲やビデオが、YouTubeのサイトに投稿可能になる。また、ソニーは8月にビデオ共有サイトのGrouperを6500万ドルで買収したほか、Warner Bros. Entertainmentは、動画共有サイトのGuba、ファイル共有システムのBitTorrentと契約を結び、同社の映画の配信を許可している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

関連記事
あくまでも「法令遵守」を貫くユーチューブ--そして、この事実に気付かないユーザーたち - 2006/10/23 11:33
グーグル、ユーチューブを16億5000万ドルで買収 - 2006/10/10 07:27
ユーチューブ、メディア企業3社とコンテンツ契約を締結 - 2006/10/10 02:42
ソニー、ビデオ共有サイトGrouperを買収 - 2006/08/23 16:49
ディズニー傘下のABC、テレビ番組のネット配信サービスを継続へ - 2006/08/22 15:28
フォックス、傘下のMySpaceで映画とTV番組のダウンロード販売を開始へ - 2006/08/14 20:09
オンラインでのビデオ配信を開始したアップル--その手法と展望はいかに - 2005/10/13 13:56

[CNET Japan]
http://japan.cnet.com/
(CNET Japan) - 10月27日22時31分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061027-00000011-cnet-sci