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2006年10月26日(木) 15時15分

ネットID違法売買が横行 警察庁「おとり捜査」方針朝日新聞

 インターネットのサービスを受けるのに必要なID・パスワードの売買がネット上で横行している。売りに出されているIDなどは、「フィッシング」という手口で入手した他人のものとみられ、100人単位で盗み取られた例もある。事態を重くみた警察庁は、捜査員自らが取引に参加して犯罪事実を確かめる「おとり捜査」で、こうしたネット上の違法販売に対抗していく方針を固め、27日、全国の都道府県警察に通達する。

 「新規〜10 ¥3万、11〜100 ¥5万前後、100〜 ¥7万以上——」

 今月中旬、「裏物」の売買あっせんをうたうインターネットの掲示板に、ネットオークションへの出品に使われるID・パスワードの販売情報が書き込まれた。書き込み主は自らを「仕入(しいれ)屋」と名乗った。「ご希望のモノが無い場合でもお時間を頂ければ調達致します」

 これらのID・パスワードを使えば、他人になりすまして架空の商品を出品し、応札者から金をだまし取るなどの詐欺行為が可能だ。

 ネット上でのID売買はフィッシングの登場とともに近年、目立ち始めた。警察庁によると、フィッシングの手口を使った事件の摘発は昨年まで1件だったが、今年はすでに5件に上る。

 京都など3府県警が5月に摘発したグループはネットオークションを運営する「ヤフー」の偽のホームページを使って約5800人からIDなどを盗み取っていたほか、警視庁が1月に逮捕した男は同様の方法で500人分を入手していた。

 IDなど他人の個人識別情報の販売は不正アクセス禁止法違反に当たるが、おとり捜査で摘発したことはない。警察庁が描くおとり捜査は、(1)捜査員が身分を隠してIDなどを購入し、販売の事実を確認する(2)販売者を特定する捜査とともに、オークション運営会社などの協力を求め、IDが他人名義であることを確認する(3)販売者宅を捜索するなどして、容疑を固める——というものだ。

 おとり捜査は薬物密売などですでに利用されており、その適法性をめぐっては「通常の捜査方法だけでは摘発が困難な場合、機会があれば犯罪を行う意思があると疑われる者を対象に許される」との最高裁判例がある。

 ネット利用犯罪は年々増加し、00年は913件だったが、昨年は3161件。このうち、架空の商品を売りつけるなどの詐欺が1408件、他人のIDを悪用した不正アクセス禁止法違反が277件で急増している。

 同庁は、おとり捜査の対象をID・パスワードのほか、児童ポルノや海賊版ソフトなど、ネット上に販売の宣伝がある場合に限定し、判例の要件を満たしているという。

    ◇

 〈フィッシング〉 実在のネット企業や銀行、カード会社を装ったメールを送りつけるなどし、あらかじめ作った偽のホームページにアクセスさせてID・パスワードやクレジットカード番号などの個人情報を盗み取る手口。入手したIDで他人になりすまし、オークション詐欺などを働く。

http://www.asahi.com/national/update/1026/TKY200610260242.html?ref=rss