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2006年10月25日(水) 00時00分

特例金利見送り 低所得者救済 課題残る 東京新聞

 政府・与党が今月末に国会提出を予定する貸金業規制法の改正案が、土壇場で手直しされた。批判が多かった特例金利と金利区分変更の導入を見送るが、業界の巻き返しや低所得層対策を考えると、これで問題が直ちに解決に向かうとはいえない。 (村上豊)

 特例金利をめぐっては、与野党だけでなく「使い勝手が悪い」と貸金業者からも賛成意見が少なかった。自民党が九月に導入を決めたのは、上限金利の引き下げによって業者が貸し渋り、借りられなくなる人を救済するためだった。しかし、想定される需要見極めが甘く「市場調査しないで商品設計したようなもの」など、問題点が指摘されていた。

 見送りによって、救済措置は先送りされたことになる。所得格差が拡大する中、問題解決には同法案だけでなく、公的な安全網の整備などを含めた政府全体の取り組みとして手腕が問われる。

 金利区分変更は、「物価上昇分を考えた措置」(金融庁)として、実質的な金利が2−3%引き上げられる案だった。だが消費者団体は「業界側にあめ玉を与えたもので、利用者負担が増える」と批判があった。自民党は撤回を決めたが、自民党議員や業界の一部からの反発も予想される。

 今回の方針を受けて、大手消費者金融やカード会社は「メリットが少なかったので大きな影響はない」とする。一方、ある多重債務の被害者団体は「われわれの要望がほぼ実現した」と評価した。

■多重債務者230万人 一人当たり平均230万円

 金融庁は二十四日、消費者金融から五件以上の借り入れをしている深刻な多重債務者が、五月時点で約二百三十万人に上るとの資料を自民党に提出した。債務者一人当たりの借金残高は平均二百三十万円という。

 消費者金融の無担保、無保証の貸出残高は十四兆二千億円に上り、利用者は全体で千四百万人。このうち六人に一人が五件以上の借金をしていることになり、多重債務問題の根深さが浮き彫りになった。

 高金利や強引な回収が問題になっている違法な金融業者(ヤミ金融)は二〇〇五年、三百三十九件が摘発された。一九九八年の摘発数(百六十五件)から倍増した。

 このため自民党や金融庁は、政府内に「多重債務者対策本部」を設置。借金苦から抜け出せない人たちの相談窓口もつくる。

 ヤミ金融対策では、年109・5%を超える超高金利の貸し付けに対する刑事罰を最高懲役五年から同十年に引き上げるなど罰則を強化。金融、司法当局が連携して違法業者の横行を防ぐ。


http://www.tokyo-np.co.jp/00/kei/20061025/mng_____kei_____003.shtml