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2006年10月23日(月) 00時00分

手話出資 被害250人、22億集金 詐欺立件へ捜査産経新聞

 東京都港区の福祉機器販売会社の女性社長(55)らが「事業に出資すれば、高金利を払う」と聴覚障害者を手話で勧誘し、金を集めていた事件で、社長らは東京や山梨、埼玉など14都県で約250人の聴覚障害者から約22億円を集めていたことが27日、警視庁生活経済課の調べでわかった。社長の会社は恒常的に資金繰りに窮し、利息を払える状態になかった疑いや虚偽の説明で出資させており、警視庁は山梨県警とともに詐欺容疑での立件に向け捜査している。

 被害対策弁護団の集計では、被害者は全国で99人、被害総額は8億円を超えるが、警視庁が押収資料の分析などを進めた結果、現段階で被害者は14都県で約250人、被害総額は約22億円と判明した。さらに被害がなかったか調べている。

 調べや関係者によると、平成元年設立の福祉機器会社「コロニーワイズ」の女性社長は12年夏から聴覚障害者に手話で高利を約束、出資を募った。前年の1月には東京都に貸金業の登録を行ったほか、翌12年7月には関連会社「ウイング」を設立し、会長に就任。ウイングは神奈川県湯河原町のホテルを買収し、3年後に障害者や高齢者向け施設としてオープン。

 社長らは「施設の収益で金利は払える」と勧誘し、数百万円から数千万円を違法に預かり、年6%の金利を約束した。しかし、出資者に利息の支払いはなく、元本返済にも応じていないという。

 民間調査機関や関係者の話では、コロニーワイズは経営が厳しく、社長の所有不動産が都税務署に差し押さえられるなど資金繰りは以前から厳しかった。湯河原の施設も定員80人に約20人しか集まらず、買収資金も高金利の貸金業者に頼っていたとされる。警視庁は集金したほとんどを会社の運転資金や借金返済に充てたとみている。

 勧誘に貸金業の登録証に記されている登録権者の「東京都知事 石原慎太郎」の部分だけを見せていたことも警視庁の調べで判明。出資者は「知事の認可を受け、金を預かり、高い利子を配当する都関連の業者」と虚偽の説明を受けていた。

 社長は「だますつもりはなかった。施設の経営で金は返せると思った」と説明しているが、警視庁は経営状況や勧誘の手口から、社長が高利を約束し現金を詐取した可能性があるとみて、出資法違反容疑の裏付けとともに、出資話を始めた詳しい経緯や会社の破綻(はたん)時期などを調べている。

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【用語解説】手話出資勧誘事件 

 山梨県の40〜60代の聴覚障害者6人は8月31日、平成17年4月から9月に、年5〜6%の金利を約束され、女性社長と社員3人に計5750万円を預けたが利息の支払いがなかったり、滞ったとして8月31日に出資法違反(預かり金の禁止)と詐欺罪で社長らを告訴。警視庁も別の被害者の相談を受け、出資法違反容疑で9月1日に11カ所を捜索。同庁の調べでは2人に16〜17年にかけ「銀行よりも高い金利を毎月支払い、必要になれば元金は返す」と計3800万円を集金した。両警察が別々に捜査していたが、被害が広域として、同庁生活経済課や県警捜査2課などが共同捜査本部が今月16日に設。出資金を取り戻すため、社長に対して破産手続きがとられている。社長は耳が不自由な兄(56)のために取得した手話を悪用したとされる。

【2006/10/23 東京朝刊から】

http://www.sankei.co.jp/news/061028/sha008.htm