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2006年10月23日(月) 00時00分

裁判員制度導入は3年後 PR懸命朝日新聞

 ◆高2参加、模擬審判◆

 国民が刑事裁判に参加する裁判員制度の導入を3年後に控え、金沢地裁・家裁が、模擬裁判や裁判所開放などのイベントを繰り返している。「裁判なんて……」と敬遠する声も少なくない中、何とか司法を身近に感じてもらおうと、あの手この手でPRに懸命だ。
(浅野直樹)

 18日午後、金沢家裁。手錠と腰縄をつけた「少年」が「鑑別所職員」に付き添われて廷内に入ると、厳粛な声が響いた。「今から君の審判を始めます」——。

 これは金沢家裁が企画した模擬審判のひとコマ。参加したのは桜丘高校の2年生約40人で、裁判員制度が導入される3年後にちょうど成人する年代だ。本来、少年審判は非公開で、裁判員制度の対象外だが、関心を持ってもらう教材としてふさわしいと考えた。

 少年役や裁判官役は家裁職員、書記官役や鑑別所職員役は桜丘高生が演じ、中学3年の少年が仲間と一緒に通りがかりの中学生を恐喝し、現金6千円を脅し取ったという設定で進められた。少年は反省の意を示したため、中間決定として、一定期間様子を見る「試験観察決定」となったが、その期間中また万引きをしてしまう。模擬審判は少年が「今度はもうしません」と言ったところで終わり、どのような処分が適切かを5班に分かれて考えてもらった。

 ある班の議論では、女子生徒が「監視の目があれば再犯はないのでは」と保護観察処分を主張。それに対し、男子生徒が「でもまたやるかも。少年院で矯正指導を受けた方がいい」と反論した。別の女子生徒が「少年には高校に行く、美容師になるという夢もある。少年院に入ったらかなわないのでは」と発言すると、見守っていた家裁職員が「少年院にも先生がいて、受験勉強はできる。大検を取得する人もいるよ」と助言した。

 それぞれの班の発表は、少年院送致、保護観察など意見が割れ、両論併記となった班も。今村恒太君は「どういう場合にどういう処分をしたらよいのか目安がわからない」と話す一方、「少年院を見てみたいと思った」と興味を持った様子だった。

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 ◇公判傍聴ツアーや親子見学会も◇

 金沢地裁も8、9月に模擬裁判を開いたほか、10月6日と10日には実際の公判を傍聴してもらう一般対象の“ツアー”を実施した。夏休み中には、花火大会で職員が裁判員制度を周知するうちわを配り、小中学生の親子を対象にビデオ上映・クイズを盛り込んだ見学会も企画した。

 このほか、今年に入ってから裁判官らを講師として各地のロータリークラブや商工会議所などの会合に派遣し、制度について説明したのは計17回に上る。

 金沢地裁の橋本倫夫・総務課長は「最近は講演依頼が増え、少しずつ理解が広がっていると感じる。だが、裁判員が参加する裁判の手続きに、細かいところで未定の部分があるのが広報するときに一番頭が痛い。導入までの3年は短い」と話す。

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 金沢地裁・家裁は11月11日に「裁判所オープンデー」を開く。普段は見ることができない調停室、所長室、裁判官室などを公開するほか、裁判員制度についてのQ&Aコーナーも設ける。地元の小学生の絵や書道の作品展示も。午前11時から午後2時まで。誰でも参加でき、事前申し込み不要。問い合わせは同家裁事務局(076・221・3418)へ。

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 【裁判員制度】 重大な刑事事件について、有権者からくじで選ばれた裁判員(原則6人)が、裁判官(同3人)と共に審理し、有罪か無罪かや、量刑を決める制度。09年5月までに導入される。原則として多忙を理由に拒否できないため、仕事を持つ人のための休暇制度や、育児・介護をする人のための補助も必要とされる。裁判所は「制度の運用には企業や自治体などの理解、協力が不可欠」と訴えている。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000000610230003