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2006年10月21日(土) 14時17分

自・民相乗り“不発”読売新聞

思惑ずれ独自候補

疲れた表情で報道陣に対応する民主党の玄葉光一郎県連代表(16日夜、都内のホテルで)
 今月16日、東京都千代田区永田町の自民党本部。同党県連から出馬要請を受諾した森雅子氏(42)が会見に臨んだ。一昨年から金融庁課長補佐として働き「自民党への信頼感が高まった」と述べた。背後には、安倍首相のポスターが2枚張られていた。会見後には、中川秀直幹事長と握手を交わし笑顔で報道陣のフラッシュを浴びた。

 そのころ、自民党本部に近い同区永田町の衆議院第一議員会館の一室では、民主党県連代表の玄葉光一郎衆院議員が、県連幹部らとの協議を終え、報道陣に囲まれていた。「方針通り森さんを推薦したい。他党の動きはあるが軸をぶらさず」。隣で同県連の渡部譲幹事長はうなずいた。「こっちが先だったんだから」

 しかし、渡部幹事長が、福島市の同県連本部に戻ると、森氏の会見をニュースで見た支援者から厳しい声が寄せられていた。「あんなに自民色の強い人を支持できない」。自民党との相乗りを禁止している民主党本部も難色を示した。

 急きょ、渡部幹事長らが東京に戻り、玄葉代表らと都内のホテルで再協議した。協議を中座した同党の渡部恒三最高顧問は吐き捨てるように言った。「推薦撤回だ」。19日、民主の推薦候補として佐藤雄平参院議員(58)が出馬を表明する。

 県発注工事をめぐる談合事件で、実弟らが逮捕された責任をとって、佐藤前知事は先月27日、辞任を表明した。その直後から、自民、民主両党の県連では、統一候補を模索する動きがあった。「(選挙で)さらに県民を悩ますのはいかがなものか」「県民を真っ二つにすべきでない」。両党県連幹部はそう口にした。

 森氏に最初に白羽の矢を立てたのは、民主と社民、県民連合、連合福島の4者だった。14日の協議で擁立方針を決めた。「清廉・クリーンのイメージにぴったり」が理由だった。

 自民党県連は翌15日、役員会、緊急党議を相次いで開き、森氏擁立を一気に決めた。

 自民の動きに、自民とは同一候補を擁立しないことを前提に人選を進めていた民主党県連の幹部は言った。「こちらが決めた候補に向こうが乗ってくるのはかまわない」

 だが、自民党県連は、自民候補との印象づけに躍起になった。会見時に森氏の背後に張り出された安倍首相のポスターは、直前に同党職員が張り出したものだ。

 民主党は、参院補選も覚悟し、過去2回の参院選でトップ当選している佐藤氏の擁立を決めた。佐藤氏の出馬を知った自民党関係者はため息混じりにつぶやいた。

 「自民は我が候補と印象づけることに力を入れすぎ、民主を追いつめ過ぎた。事件の影響で、業界も動けず民主との真っ向対決を望む人はいないよ」

 自民と民主の人選を巡る駆け引きが、佐藤前知事の県政を支えた両党の全面対決を生んだ。

     ◇

 自民推薦の森氏、民主推薦の佐藤氏に、共産党推薦の小川英雄県労連議長(57)を加えた対決の構図が明確になった出直し知事選。県政を刷新できる知事が求められるなか、候補予定者や陣営が何を考え、どのように選挙戦に臨むのか、深層を探った。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukushima/news001.htm