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2006年10月20日(金) 23時40分

新生児取り違え、都が上告断念 親捜し協力は一転否定朝日新聞

 東京都立墨田産院(廃止)で58年に新生児の取り違えがあったとして、東京高裁が都に対し、真の両親が分からない福岡市の自営業男性(48)へ損害賠償の支払いを命じた控訴審判決について、都は20日、上告しないことを決めた。05年の一審判決後、男性の親捜しに協力を明言していた石原慎太郎都知事は、この日の記者会見で「(親捜しは)プライバシーの問題があって難しく、(取り違えの)責任をとって賠償金を支払う以外にできることはない」と述べ、今後は親捜しに協力できないとの考えを示した。

 都は「取り違えはなかった」などと主張したが、12日の控訴審判決は「取り違えで真の親や子と家庭生活を過ごすことができず、産院の重大な過失で人生を狂わされた」と認定、男性と育ての親夫妻に計2000万円の支払いを命じていた。

 石原知事は会見で、「痛ましい話だが、(男性と取り違えられた)相手の方の人生にもかかわる問題。行政としてできることは限りがあり、男性の心情などを総合的に斟酌(しんしゃく)した」などと、上告しない理由を説明した。

 また、「すべて終わらざるを得ないでしょう」「原告の方のためにもなり、(取り違えられたもう片方の)隠れている人のためにもなるような方法があったら教えてほしい。ことを荒立てて、ほじくり出して、傷口広げてどうなるもんじゃない」などとも述べた。

 一審判決は取り違えは認めたが、賠償請求権は認めなかった。その際、石原知事は「(都が持っている情報は)もちろん開示する」「都として、この人の側に立って国に強く(開示を)迫る」などと語っていた。

 都は一審判決後、出生に関する記録が記載された「戸籍受付帳」を保管している墨田区や、年金データを持つ社会保険庁などに照会したが、いずれも個人情報保護を理由に「困難」と回答してきたという。産院のカルテは10年の保存期間を過ぎて廃棄されている。

http://www.asahi.com/national/update/1020/TKY200610200416.html