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2006年10月17日(火) 00時00分

豪華、スタッフ常駐…アキバから新提案 使って!街のトイレ 初日から大勢の人が訪れた有料公衆トイレ「オアシス@akiba」。モダンな外観=東京都千代田区で 東京新聞

 街中のトイレが変わりつつある。「くさい」「汚い」が定番だった公衆トイレに豪華版が登場。商店街や銀行にも「トイレ空白地帯」を返上しようという動きがある。都市の風格を表すともいわれるトイレの最前線を探った。

 冷暖房完備のゆったりとした空間で、スタッフがにこやかにお出迎え−。東京・秋葉原駅東口そばに十六日正午、千代田区の設置した有料公衆トイレ「オアシス@akiba」が“開業”した。

 障害者用と子供用トイレは無料だが、ほかは一回百円。スタッフ二人が常駐し、午前七時から午後十時まで利用できる。「いつもきれいで安全」が売りで、女性トイレには大きな姿見が。男性トイレの個室にもおむつ替えシートがある。タウン情報コーナーと喫煙スペースも併設する。

 初日は物珍しさもあってか、四、五人連れだって入る人たちも。男性会社員(23)は「きれいな環境が保たれるなら有料制もいいと思いますね」。近くに住む主婦(28)は「駅などの公衆トイレのおむつ替えシートは、汚くて子どもを寝かせられないが、ここは大丈夫」。「僕は落ち着いた環境じゃないとできないので、ありがたい」という男性(45)も。

 自治体設置の有料トイレは京都市や埼玉県蕨市にあるが、都内では初めて。千代田区が三年前、区内の公衆トイレ三十四カ所の実態調査をしたところ、女性の利用率はわずか3%だった。既存トイレでは治安上の不安や老朽化などの課題が大きいことが浮き彫りになり、有料制導入に踏み切った。

 世田谷区の下高井戸商店街に昨年夏に開設された商店街事務所「しもたかステーション」。一階にバリアフリー仕様のトイレを設置する。表の看板には「トイレあります!」。石井健夫事務局長は「商店街にトイレがなくて困るという声が多かったので、喜ばれています」と話す。

 小規模店舗が集まる商店街は、人が集まるのにトイレがない典型的な「トイレ空白地帯」だ。都が今春、インターネットで「外出時にトイレがなくて困った場所は」とアンケートしたところ、「商店街」と答えた人が約五割と最も多かった。

 豊島区の巣鴨地蔵通り商店街では、十五年ほど前から、各店舗が一階にあるトイレを開放しているが、これは例外的。都商店街連合会によると最近は商店街事務所を改装し、使いやすい場所にトイレを設置する例が増えつつあるという。

 立川市のりそな銀行立川支店には、一階に誰でも使えるバリアフリー仕様のトイレがある。二年前の開店時、障害者団体などの意見を聞いて設置した。「トイレだけ使いに来る方も結構いますよ」。銀行の店舗では、防犯上の理由などから客用のトイレは一般化していなかった。「しかし、サービス業としての観点から」(りそな銀行広報部)設置に踏み切った。同行では、立川支店を皮切りに新設店舗にはトイレを設置するようにした。

 都銀など都内に多くの店舗を置く七行のうち六行が、都の調査に対し、トイレ設置に前向きな回答をしており、今後銀行のトイレ事情も変わってきそうだ。

 コンビニエンスストアでは、強盗の続発などから一時はトイレの開放を取りやめていたこともあった。しかし、ローソンが一九九七年に「トイレ開放宣言」したのを最初に、各チェーン店でトイレの公共化が進む。今春開店したナチュラルローソン新川一丁目店(中央区)は、ストッキングを履き替える台や乳児いすを備える。

 都は今年七月、半径四百−五百メートルの圏内ごとにトイレを配置し、トイレ空白地帯を解消することを提言する「トイレ整備指針」を策定。市区町村や商店街、コンビニ、ガソリンスタンドなどに整備を働き掛けている。

 日本トイレ協会の上(うえ)幸雄(こうお)理事長は、都の指針について「トイレ整備の基準として初めて数値が明確に示された。民間施設のトイレに積極的に公共の役割を担わせるという方向も評価できる」とした上で「金融機関などの動きはまだ鈍い。今後は水洗が使えない災害時のトイレ問題が大きな課題だ」と話している。

 文・石井敬/写真・河口貞夫、市川和宏

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