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2006年10月17日(火) 08時01分

難病の無料治療縮小、軽症は有料化 厚労省方針朝日新聞

 厚生労働省は、難病の治療方法や原因を究明する事業の対象となる病気を来年度から見直す方針を固めた。これまで45種類の病気を対象に治療費を無料にしてきたが、対象患者数の多いパーキンソン病や潰瘍(かいよう)性大腸炎について、軽症者などを無料の対象から外す方向で検討している。予算の大半が治療費に回り、本来の目的である研究費が捻出(ねんしゅつ)できないのが理由だ。72年の事業開始以来初めての見直しで、新たに別の難病を指定することも視野に入れている。

 難病対策では、新たな病気が次々と追加される一方で、原因が判明するなどして指定を外れたものは一つもない。難病治療のうち保険が適用されるものについて、患者の自己負担分が公的に支給されている患者数は54万人に膨らみ、昨年度の総額は760億円。一方の研究費は20億円だけになっている。

 このため厚労省は、97年に決めた難病指定の要件を満たさない病気について、見直すことにした。(1)希少性(おおむね5万人未満)(2)原因が不明(3)効果的な治療が未確立(4)生活への長期の支障がある、の4要件で、パーキンソン病(支給対象者約7万3千人)と潰瘍性大腸炎(約8万人)が見直しの対象となっている。

 この二つの病気については、無料対象者を重症者に絞り込むなどして、5万人に収まるようにする方針だ。除外された人は、通常の医療保険制度が適用され、自己負担が発生する。

 今年8月、厚労省は「特定疾患対策懇談会」(金沢一郎座長)を開き、患者数の多い病気を対象から外すことを検討した。しかし、患者団体は反発。全国パーキンソン病友の会は「薬代の公費負担がなくなれば、月5万円の負担増の人もいる。働き盛りで発症し、収入がない患者も少なくない」といい、潰瘍性大腸炎などの患者組織の萩原英司・世話人は「補助がなくなれば、自己負担が厳しくて病院に通う人が少なくなり、研究に協力する人も減ってしまう」と反対している。

 その結果、懇談会は「特定疾患からの除外は行わず、希少性の要件に収まるよう対象者の範囲を見直す」との方向でまとまりつつあり、厚労省は、この方向で見直しを検討していた。

 現在、胆道閉鎖症や1型糖尿病など少なくとも九つの病気の患者会が新たな難病指定を要望しているが、すでに指定されている難病の患者数は毎年増えており、03年以来、追加指定はされていない。

 厚生科学審議会難病対策委員を務めた小池将文・川崎医療福祉大教授(社会政策)は「難病の研究促進と患者の治療費軽減を抱き合わせで解決しようとしたことに根本的な問題がある。財源も研究費の形をとったため、財政難の時は予算確保が難しい。研究を進めるべき難病は他にもたくさんあるのに、国は事業から外される患者の痛みとの間でジレンマに陥っている」と話している。

http://www.asahi.com/life/update/1017/003.html