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2006年10月16日(月) 00時00分

法律を身近なものに 日本司法支援センター埼玉地方事務所 長梶山敏雄さん 東京新聞

 《司法制度改革の一環として十月二日に「日本司法支援センター」(愛称・法テラス)が全国五十カ所で開業した。県内ではさいたま市に地方事務所が開業し、法的トラブル解決のための情報提供や資金がない人に対し訴訟費用を立て替える民事法律扶助を行う》

 問い合わせが一日平均五十件と多く驚いている。東京都中野区のコールセンターでも埼玉県内からの電話は全国で三−五番目くらいで推移している。週三日の無料の法律扶助相談も一日十人の相談枠がいっぱいの状態。離婚や金銭トラブルの相談が多い。

 《司法制度改革の一環で国選弁護人の対象を起訴前の容疑者に広げる「被疑者国選」も始まった。一方、弁護士会から法務省傘下の独立行政法人である法テラスに業務が移った国選弁護人の選任には、その中立性を懸念する声もある》

 埼玉弁護士会が選任していた従来の九割に当たる二百四十人超と国選弁護人の契約を結んだ。予想より多くほっとしているが、弁護士の中には批判的な声があるのも知っている。埼玉では弁護士会に国選弁護人の名簿を作ってもらい、その名簿を共有する方式をとった。法テラスが国の意向に沿って恣意(しい)的に国選弁護人を選任することがないよう、中立性の確保に腐心している。検察側と対峙(たいじ)している立場上、業務の独立性は絶対維持しなければならない。それに被疑者国選は弁護士会の長年の悲願。現在は放火や殺人などの重大事件に限られるが、二〇〇九年に全事件に拡大すると仕事量の増加も予想される。多くの弁護士に担っていただきたい。

 《ほかにも弁護士数が不足しているとされる地域の司法過疎対策や犯罪被害者支援があり、業務内容は幅広い》

 司法過疎地域は熊谷と秩父が挙げられる。特に秩父は広いエリアなのに二人しか弁護士がいない。将来は法テラスの新たな拠点をつくる必要があると思う。熊谷も年間五十−六十件もの国選弁護を担当する弁護士がいて負担が偏っている。犯罪被害者支援では、精神的な打撃を受けている被害者やその家族に不用意な応対をして二次被害とならないよう専門職員らが対応し、弁護士紹介などの情報提供をしている。性犯罪など表面化しづらい相談にも丁寧に応じたい。

 《県内ではさいたま市の本所のほか、川越支部と司法過疎対策として弁護士を置く熊谷法律事務所が設けられた》

 行政機関や司法書士会など他団体と連携し、多様な問い合わせに的確に答えられるようにするのが最大の課題。市民に最もかかわる業務で、法テラスの存在意義が問われる。これまでトラブルをどこに相談すればいいのか分からない人が多かったと思う。各地の法テラスを身近なものと認知してもらうことで法律相談への敷居を低くし、埋もれていた問題も解決していきたい。 (安藤恭子)


http://www.tokyo-np.co.jp/00/stm/20061016/lcl_____stm_____000.shtml