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2006年10月15日(日) 16時01分

あん人こん人:電子カルテ開発の先駆者・産科医院長、是永迪夫さん /大分毎日新聞

 ◇「患者のためが基本」−−是永迪夫さん(61)
 宇佐市で19年前から産科医院を開いている。電子カルテ開発の草分けでもある。カルテは今も進化中で、医院では第3世代を使っている。
 元々「臨床医は嫌で、実は研究分野に進みたかった」。公衆衛生を学ぼうと九州大教授の門を何度もたたいたが留守。物療内科をしようと東大と大阪市大に手紙を出したが、ナシのつぶて。たまたま別府市の温研(現・九州大学生体防御医学研究所)から誘いの手紙が届いた。22年前、温研の産科医だった39歳の時、コンピューターによる電子カルテのソフトを開発した。
 「いい教授に恵まれた。好きな研究をさせてくれて、コンピューターに出合いました。ソフト開発だけで1億円は使いました」
 医院を開業してからも研究心は衰えない。日々の診療をしながら、医院のスタッフと共にシステムに携わり、開発を進める。別に開発室も持つ、熱の入れよう。03年には、電子カルテと連動した初の「携帯電話サービス」も始めた。胎児の超音波画像や貧血状態を母親が携帯電話で見ることが出来る。個人情報保護法などの関係で、現在は中止しているが、近くバージョンアップして再開させるつもりだ。
 「検査など、どこに行っても紙のカルテが付いて回り、それがないと医療行為は出来ないが、電子カルテは受け付けと同時に診察室のパソコン画面に患者の情報が届く」
 しかし「紙カルテなしの診療を試みている医療機関は全国で4〜5%でしょうか」と、普及が進まない状況に声を落とす。
 先日、中津市民病院(中津市)の産婦人科休診問題で記者が会った時、「大きな都市に産科医を集約するなんて机上の空論。地方に分散すべきだ。産科医は24時間拘束され、ちょっとしたことで訴訟ざた。これでは医師の卵は産婦人科を選ばない。看護師に助産を認めないような、今の法律もおかしい」と、医療現場の現状と課題を明快に説明してくれた。
 「患者のための電子カルテが基本」ときっぱり。「IT(情報技術)を利用した、正確で効率的な診療を行うとともに、妊婦とのコミュニケーションを深めたい」と夢を語った。【大漉実知朗】
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 ◇横顔
 豊後高田市出身。九州大医学部卒。宇佐弁交じりの関西弁に味がある。好きな言葉は「なるがまま」。ベンチャーズにあこがれ、エレキギターにはまったという。気分転換のため、時間をつくってはエレキに向かう。

10月15日朝刊
(毎日新聞) - 10月15日16時1分更新

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061015-00000198-mailo-l44