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2006年10月14日(土) 00時00分

《事件ファイル》被告を見守る傍聴席の女性朝日新聞

 ■ 函館地裁でネット詐欺公判

 ■ 愛知から面会、被害弁償も肩代わり

 「被告人を懲役3年に処する。この裁判が確定した日から5年間、その刑の執行を猶予する」

 ネットオークションを利用して落札者から金をだまし取ったとして詐欺罪などに問われた男性被告(38)に対し、函館地裁が執行猶予付きの判決を言い渡すと、傍聴席の若い女性が手を合わせ、顔を伏せた。

 愛知県に住む被告は、愛知万博の人気パビリオンの入場券やデジタルカメラをインターネットのオークションに出品。販売する意思がないのに、落札者に金を振り込ませた。05年9月から今年1月ごろまでの間に計11件、約136万円をだまし取ったという。

 女性は被告の交際相手。色白で目鼻立ちのはっきりした顔立ちは、傍聴席でひときわ目立っていた。

 9月初め、女性は被告のために証人として法廷に立った。彼女の目に被告は「とても優しい男性。夜遅くまで働き、とてもまじめ」と映った。詐欺を働いていたとは全く知らなかったという。

 愛知県から何度も面会に訪れた。被害者への金の返済は、自分の貯金を取り崩して工面した。「一日も早く彼に出てきてほしいし、彼も反省している。私が彼をきちんと見ていきたいと思っています」。いずれは被告と結婚も考えている、とも語った。

 判決の中で裁判官は「被告人の交際相手が支払った結果ではあるが、大部分の被害者に被害弁償が実施された」などと、実刑にしなかった理由を述べた。

 判決文が読み上げられている間、女性は何度も指で目頭をぬぐった。執行猶予付きの判決に、ほっと安心した様子がうかがえた。

 弁護人が「よかったですね」と声をかけると、小さくうなずいた。

 (函館支局・芳垣文子)

http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000000610160007