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2006年10月13日(金) 13時41分

NHKに「拉致」放送の命令検討 総務相朝日新聞

 菅総務相は13日の閣議後の記者会見で、「NHKには命令放送を行わせることができる。内閣が代わって、拉致問題が国の最重要事項になっていることは間違いない。そういうことを含めて検討したい」と述べ、NHKの短波ラジオ国際放送で、拉致問題を重点的に扱うよう命令することを検討する考えを示した。総務相は同放送への命令権限を持つが、個別具体的な項目の扱いを求めるのは異例だ。

 命令放送とは、放送法が国際放送について定めている制度。総務相が事項を指定して放送を命じることができる。実際に対象になっているのは、同制度に基づき制作費の一部に国費が投じられているNHKの短波ラジオ国際放送のみとなっている。これまでの命令は、NHKの自主性を尊重するため、「時事」「国の重要な政策」「国際問題に関する政府の見解」といった大枠にとどめ、具体的な放送内容に口出ししてこなかった。NHKによる独自の編集と命令放送との間に境目もなく、事実上、NHKの裁量権が大きかった。

 菅総務相は、安倍首相を本部長とする「拉致問題対策本部」が設置されたことなどを指摘。「国としての重要事項が変わってきている」として、具体的な命令を出すことも検討する考えを示した。

 拉致関連放送としては、拉致問題を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」が、北朝鮮向けに短波ラジオ放送「しおかぜ」を流している。英放送配信会社に委託して拉致被害者家族のメッセージなどを放送しているが、妨害電波とみられる通信に見舞われており、官房長官だった安倍氏が5月、「(妨害電波は)北朝鮮国内からと認められる」と述べている。

 菅総務相は、「しおかぜが短波放送を欲しいということであれば、ITU(国際電気通信連合)に正式に申し入れたい。NHKの施設を使えるよう前向きに考えたい」と支援を表明。国際放送のための新たな周波数の割り当てに向けて国際機関に働きかけるほか、NHKの送信所を活用するなどの支援策に乗り出す考えも示した。

 NHK広報局は取材に対し「NHKに正式な話が来ているわけでもなく、今の段階でお答えすることはとくにありません」と述べている。

     ◇

 〈服部孝章・立教大学教授(放送制度論)の話〉 政府による放送内容への関与は、放送の不偏不党、表現の自由をうたった放送法1条の理念に反する。放送法は、国際放送の命令を規定しているが、番組の具体的な中身にまで踏み込むことは記していない。基本的に受信料で運営されている点からも、命令放送の拡大には慎重になるべきだ。

http://www.asahi.com/politics/update/1013/006.html